仕事になるかどうかは自分が決めることじゃない。いしかわゆきさんに聞く、キャリアを拓く“書く習慣”

仕事になるかどうかは自分が決めることじゃない。いしかわゆきさんに聞く、キャリアを拓く“書く習慣”

キャリア

継続のコツは、書くハードルを下げること

――仕事が忙しく、なかなか書く時間を取れないという人も多いです。働きながらでも書く習慣を身につけるコツを教えてください。

特に重要な習慣化ルールが3つあります。

 

1つ目はスキマ時間を使うこと。

私は新R25編集部でライターをしていた時、フルタイムで働きながら1年間、ほぼ毎日noteを書いていました。

当時、自分で決めていたのが、書く時間をあえて作らないことでした。

 

ビジネスパーソンは忙しく、例えば毎日午後9時に書くと決めたとしても、いきなり飲み会が入ったり、残業しなきゃいけなかったりしますよね。

すると「今日は時間がないから書けない。終了!」と諦めてしまう。

 

それよりは、日常に潜むスキマ時間から捻出する方が習慣化しやすいと思います。

私は基本的に、電車内や駅から家までの帰り道などの移動時間だけでnoteを書いていました。

自分の生活を俯瞰(ふかん)してスキマ時間を見つけ、そこで書く、と決めるのがオススメです。

2つ目は「5分マジック」です。

人は、やる気があるから行動するのではありません。

行動するからやる気が出てくるんです。

 

やる気がない時に「1時間書いてみよう」というのは難しい。

でも「とりあえず5分だけ書いてみよう」と思うと、やっているうちにやる気が出てきて、気づけば1時間書いていた、なんてことがあります。

まずはだまされたと思って、5分だけやってみてほしいですね。

 

3つ目は、文字数のハードルを下げること。

noteでは「1000字以上は書かなきゃ」と思っている方が多いのですが、基本的に何文字でも投稿はできるので、文字数は気にしなくて大丈夫です。

500字で十分ですし、100字でも200字でもいいので、とりあえず書いてみることが大事です。

 

例えば、いきなり「100回腹筋してください」と言われたらすごく面倒に思うけど、「3回」ならできるように感じますよね。

ハードルを高く設定すると習慣化は難しいので、うんと低くすることが大切です。

 

――スキマ時間の活用と5分マジック、文字数のハードルを下げることが特に大事なんですね。

あとは、「なぜ書くのか」を言語化しておくことも大事だと思います。

「みんなが書いたほうがいいと言うから、書いてみました」だとおそらく習慣化はできない。

何かを継続することって大変なことで、最初はやる気に満ちあふれていても、どうしても書きたくない日は来ると思います。

 

そんな時に初心に戻れる場所を作っておく。

具体的には、「なぜ書くのか」の理由を書き残しておいて、モチベーションが下がるたびに読み返せば、また前向きな気持ちで書けるようになっていくと思います。

 

(退職時に気持ちを書き残す)退職noteも、まさにそのためにあると思うんです。

私もフリーランスになったはいいものの、やりたいことがわからなくなって、「会社員に戻ろうかな」という想いがふと頭をよぎることがあります。

でも、そんなときに退職noteを読み返してみると、「そうだ、これをやりたいからフリーランスになったんだった!」と思い出して、また頑張ろうとなるので。

――書くことがなくなって続かないケースもあると思います。ネタ切れ対策を教えてください。

私は日頃からテーマをメモに箇条書きでリストアップするようにしています。

いきなり書き始めるのはしんどいので、普段からテーマを作る意識を持って、ネタのストック場所を用意しておくと書きやすくなりますよ。

 

ネタは、日常からどれだけ拾えるかが重要。

それには3つのコツがあります。

 

1つ目は、疑問をそのままにしないこと。

小さい頃は「なんでこれは赤いんだろう」「なんでお母さんはこんなことを言うんだろう」と様々な疑問を持っていたと思いますが、なぜか大人になると放置しがちになります。

それを疑問のままにせず、拾って考えてみることからネタにつながることがありますよ。

 

2つ目は、人に話すことをそのまま書くネタにすること。

会社でうれしいことがあったり、はたまた恋人の言動にイラッとしたり、思わず誰かに話したくなることってありますよね。

それをそのまま書くネタにしてみる。

感情が乗りやすいので、きっと面白い文章になると思います。

 

3つ目は、全てのことに感想を持ってみることです。

例えば1本の映画にしてみても、ぼんやり観(み)るのと、感想文を書く前提で観るのとでは、見方が全然変わってきますよね。

「感想文を書くとしたら何を書くだろう」という意識で本を読んだり、映画やドラマを見たりすると、「あぁ面白かった!」で終わることがなくなっていきますよ。

 

この3つを練習していくと、ネタ探しはどんどんうまくなっていきます。

紙の上は自由。炎上を怖がるよりやってみよう

――文章を書いて、自分の意見や価値観を公開すると、炎上する可能性もあります。炎上の恐れとどう向き合えばいいでしょうか?

炎上かぁ。

みんな自意識過剰すぎると思うんですよね(笑)

そもそも炎上は、狙っても簡単にできるものではないんですよ。

 

ただ、オンラインで炎上する人は、残念ながらリアルでも炎上している人だと思います。

普段考えていることや話し言葉が書き言葉に表れるので……。

リアルで炎上しない人は基本的にSNSでも炎上しないので、それほど心配しなくて大丈夫です。

それに、炎上や誰かに嫌われることを恐れて書かないのは「けんかするのが怖いから人と話さない」というのと同じだと思います。

最悪けんかが起きてしまっても、きちんと謝って仲直りすればいいじゃないですか!

書いたことで何か言われたら議論すればいいし、もしも自分が言葉足らずで炎上したら謝って「こういう意味で書きました」と説明すればいい。

限りなく低い炎上リスクを恐れて何も発信しないのか、万が一炎上するかもしれないけど自分のやりたいことをやるか、どちらを選ぶかだと思います。

 

――最後に、働きながら文章を書こうとしている人へメッセージをお願いします。

リアルな世界では、自分の意見を自由に言えないかもしれないし、好きなことをやれないかもしれません。

でも、紙の上は自由だと思うんです。

創作とは本来そういうもので、誰かに何かを言われるものではありません。

 

せっかく自由な国にいて、誰もが文章を公開できる時代に生きているのだから、書き方や作法などはあまり難しく考えず、自由帳に落書きするつもりで自由に書くことにチャレンジしてほしいです!

プロフィール

いしかわゆき。早稲田大学文化構想学部卒。雑貨メーカーの営業、サイバーエージェント広告事業本部、ウェブメディア「新R25」編集部を経て、2019年にライターとして独立。noteをきっかけに『書く習慣〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』を出版。取材やコラムを中心に執筆するほか、声優やグラフィックレコーダーとしても活動する。

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