ワクワクする企画をつくるために、やってはいけないこと #12

ワクワクする企画をつくるために、やってはいけないこと #12

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大量の泡にまみれる、道を巨大なスライダーに変える、120万枚の花びらに埋もれるなど、奇想天外な発想力と実現力で、心躍る企画をつくり続ける体験クリエイター「アフロマンス」さんが“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

早いもので、このコラムも1年を迎え、最終回となりました。

まだまだ伝えたいことはたくさんありますが、最後に私の経験から「ワクワクをつくるために、やってはいけないこと」を4つお伝えしたいと思います。

専門家になってはいけない。

僕の好きな言葉で、「漫画から漫画を学ぶな」という手塚治虫さんの言葉があります。

面白い漫画を描くために、ひたすら面白い漫画を研究しても、他人の漫画の劣化版コピーしか生まれないという話です。

 

これは、色んな分野の企画やクリエイティブでも同じです。

企画を考える時、同じ業界の他社事例をたくさんリサーチして、それをもとに考えている人はいませんか?

他社事例を知ること自体は悪いことではありません。

最低限の知識として知った方がいいことはありますし、被りを避けることもできます。

ただ、そこで知ったことだけをもとに企画をつくっても、新しいものは生まれません。

 

大事なことは、まったく異ジャンル・異業界のことまで、幅広く知り、体感することです。

先ほどの手塚治虫さんの話で言えば、演劇を見て、美味しいものを食べて、旅をして、そこで感じたことを漫画に持って帰ることで、オリジナルが生まれるのです。

世の中のあらゆる情報を集めろということではありません。

自分の心が動くものだけでもかまいません。

「仕事や企画に使えるかどうか」で判断するのではなく、「面白い!」と興味を持ったら、ジャンルや業界の先入観を持たずに、まずは体験することをおすすめします。

プロセスを無視してはいけない。

私がやっているイベントやフェスを見て、「僕もデカいフェスを主催したい!」と言って、訪ねてくる若者がいます。

そして、そんな若者に限って、ほとんどイベントをやったことがないというケースが多い。          

やりたい!という気持ちを抱くことはいいことです。

ただ、そこに至るまでのプロセスを無視するのはおすすめしません。

 

例えば、私が1万人を超えるフェスを主催する数年前には、数千人規模のフェスを開催していました。

その数年前には数百人のイベント、その数年前には数十人の小箱でイベントをやっていました。

その時の自分にやれる最大限の企画をやり続けて、たくさんの痛い目を見て、人に迷惑もかけて、「もう二度と同じ失敗はすまい」と心に誓いながら、規模が大きくなったり、企画のクオリティが高まっていったりしたのです。

 

その経緯を話すことはできますが、イチローの話を聞いて明日からホームランやヒットが打てないのと同じように、多少のショートカットはできても、実際は自分でやってみるしかないのです。

 

やりたいことがあるなら、今の自分にできる最大限のことをやってみることをおすすめします。

そして、たくさん失敗して、たくさん考えて、そんな経験が血肉となって、あなたを強くたくましくします。

欲張ってはいけない。

最近、「地方のバーはなぜイケてないのか?」という話が出た時、そうかもなと思ったのは「地方のバーは広すぎる」という視点でした。

 

バーは、広ければ広いほどいいものではありません。

いいバーの体験は、場の雰囲気、適度な距離感、バーテンダーやスタッフのホスピタリティ……色んな要素でできています。

 

しかし、地方でバーをつくる時、土地や家賃が安いせいか、欲張って、大きくつくりすぎてしまうことがあります。

その結果、広さゆえに場の雰囲気を作り込めなかったり、広さに対してスタッフが少なく、ホスピタリティが悪くなったり、結果として残念なバーになりがちです。

また、席数が多いため、常に満席にならず、流行っていない店の印象もつきます(予約が取れない人気店は、需要に対して席数が少ないことが多い)。

 

そして、この「欲張ったために上手くいかない」という話は、バーに限ったことではありません。

イベントでも、企画でも、同じです。

一人でも多くの人に知って欲しい、来て欲しい、買って欲しいと思うのは人の常ですが、その気持ちに任せていくと、身の丈を超えて、気付かないうちに本質を見失ったり、結果もついてこなかったり、本末転倒なことになりがちです。

 

「足るを知る」とよく言いますが、しっかりと実現可能性のある目標やイメージを決め、そこは必ず達成する(達成できる方法を考え抜く)。

それ以上は成功してから考える、といったように、自分の中で尺度を持つことをおすすめします。

自分の心を捨ててはいけない。

先日、こんな質問をもらいました。

「ターゲットが自分と違う場合、どのように企画したらいいですか? 自分は若い女性ですが、例えば、ファミリーだったり、障害を持つ方だったり……ついつい、自分の好きな可愛らしい表現をしたくなります」

 

これは今までのマーケティングのセオリーであれば、「徹底的にターゲットからリサーチせよ」となるでしょう。

そして、それは最低限した方がいいと思います。

しかし、人の話だけをもとに企画をすることが本当にいいのでしょうか?

 

最終的には、自分が「本当にいい」と思えるものをつくるべきです。

ターゲットやマーケティングという言葉を使っていると忘れがちですが、相手はあなたと同じ人間です。

若い女性、ファミリー、障害を持つ方、それ以前に、心を持った一人の人間です。あなたの心が動くことが、相手の心を動かすことにつながります。

 

「そうは言っても、本当に合わないんだよな」という人もいるでしょう。

ここで、強く伝えたいことは、あなたの好きは「これから増やすことができる」ということです。

冒頭の「専門家になるな」の話を思い出してください。

ジャンルや業界に捉われず、自分が気になったこと、興味を持ったこと、周りが熱狂していること、色んなことを体験してください。

 

今の時代は、便利です。

どんなことでも検索すれば大体のことは載っています。

しかし、情報として知ることと、体験することはまったく違います。

流行りの場所をインスタで見たのと、実際に行って体験するのは全く違います。

体験もせずに、好きは増えない。

逆に言えば、体験することによって、好きは増えるのです。

 

好きの引き出しが増えれば、おのずと目の前の相手との「好きの共通点」が増えます。

相手が求めていて、自分も心が動くこと。

この小さな穴を通すことが本当の企画だと思っています。

今は見えなくても、その穴は必ずあります。

 

ワクワクするのは相手であり、仲間であり、何より企画をするあなた自身です。

どんどん経験して、好きを増やしましょう。

 

アフロマンスの「ワクワクをつくる企画術」はこれにて一旦終了となります。

ただ、自分自身はこれからもワクワクすることを求め、つくっていきます。

また、このような機会があれば書くこともあるかもしれません。

また、どこかでお会いしましょう。

 

アフロマンス

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(このコラムは今回で終わります)

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