進化するZ世代の地元愛 「地元にいたい=内向き志向」がもう古い理由

進化するZ世代の地元愛 「地元にいたい=内向き志向」がもう古い理由

ライフ・マネー

若い世代の「価値観」は新たな環境の変化でどんどん進化を繰り返すといわれます。「おひとりさま」や「草食系男子」「年の差婚」などの言葉を世に広めたマーケティングライターの牛窪恵さんが、「ゆとり世代(さとり世代)」「Z世代」の考え方、ものの見方について読み解きます。

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マーケティングライターで、世代・トレンド評論家の牛窪恵(うしくぼめぐみ)です。最終回の今回は、進化するZ世代の地元愛について、ちょっと意外な視点からお伝えします。

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Z世代の羽生結弦選手、地元・仙台への思い

2022年2月20日の夜、閉会式が行われた、北京オリンピック。この大会のフィギュアスケート男子フリーで、世界初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦した羽生結弦選手は、閉幕にあたり、「東日本大震災を含め、さまざまな被害に見舞われた方に少しでも心が休まる時間がありますよう、私も遠くからでも応援できたらと思う」とのコメントを発表しました。

羽生選手は、2022年3月現在、27歳(1994年12月生まれ)。生まれ年でいうと「ゆとり世代」(私の定義で1988~94年生まれ)、年齢的にはギリギリ、Z世代(同・現18~27歳)に当たります。

そんな彼の出身地は、宮城県仙台市。彼がこれまで、仙台に並々ならぬ思いを寄せてきたことは、ご存じの方も多いでしょう。

北京オリンピックのフィギュアスケート男子フリーで演技をする羽生結弦選手=2022年2月10日、北京・首都体育館、朝日新聞社
北京オリンピックのフィギュアスケート男子フリーで演技をする羽生結弦選手=2022年2月10日、北京・首都体育館、朝日新聞社

羽生選手は2011年3月11日、地元・仙台の「アイスリンク仙台」で練習中、未曽有の大地震に襲われました。まだ16歳だった彼は、スケート靴を履いたまま屋外に避難し、避難所での生活を余儀なくされたといいます。

一時は、「スケートを続けるかどうかさえ、悩み始めていた」とも報道されましたが、その後、地元や被災者への支援活動に参加。海外に活動拠点を移してからも、地元・アイスリンク仙台には継続的に寄付を行い、その総額は、2021年3月現在で3000万円を超えたそうです(2021年3月10日「日刊スポーツ」)。

 

羽生選手に限らず、若者たちが「地元への感謝」や「地元愛」を口にするようになったことには、10年ほど前から、私も気づいていました。具体的には、前回(Z世代に「親と仲良し」が多いのはなぜ?)と同様、やはり「草食系男子」の本を書いた2008年ごろから。

実はその前後から、地域活性化などを目的とするご当地キャラクター「ゆるキャラ」のナンバーワンを競う「ゆるキャラグランプリ」(2010~2020年)や、B級グルメをはじめとしたご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」(2006年~)など、「地元愛」を軸とした地域密着型のプロモーション戦略が目立つようになりました。

2013年に開催されたゆるキャラグランプリ=2013年11月24日、埼玉県羽生市、朝日新聞社
2013年に開催されたゆるキャラグランプリ=2013年11月24日、埼玉県羽生市、朝日新聞社

またアイドル界でも、中国・上海万博でデビューした栃木県の「とちおとめ25」や、近畿地方を拠点とする「NMB48」など、いわゆる「ご当地(ローカル)アイドル」(いずれも2010年~)が次々と登場。NHK総合の人気ドラマ『あまちゃん』(2013年4~9月放映)でも、ヒロインのアキ(能年玲奈/現・のん)ら、ご当地アイドルが歌う「地元に帰ろう」が、大いに話題となったのです。

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