「経済ニュースを毎日チェックする時間がない」「先週何があったのか、さくっと知りたい」。日々を忙しく過ごす20~30代のビジネスパーソン向けに、朝日新聞デジタルが配信した先週の経済ニュースをまとめました。経済報道の現場をみつめる朝日新聞経済部長からのコメントとあわせてお届けします。
先週(2月19日~2月25日)の主な経済ニュース
■「とにかく中止」撤回された当初案 ネット利用者の情報保護巡る攻防(2月19日)
インターネット利用者の情報保護をめぐる新たな規制の案が、曲折を経て固まりました。目指した欧州並みの強い規制は経済界の反発を受けてトーンダウン。識者には「世界から取り残される」との懸念もあります。記事はこちら。
■インフレ圧力は「潜在的リスク」 G20財務相・中銀総裁会議が声明(2月19日)
主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議がインドネシアのジャカルタで2月17、18日に開かれ、共同声明を採択して閉幕しました。エネルギーを中心とした原材料価格の上昇が多くの国でインフレ圧力を引き起こし「潜在的なリスクをもたらしている」として、「経済に与える影響への警戒を続ける」としました。ただ、経済の回復度合いには各国でばらつきがあるなどし、具体的な対応策までは打ち出していません。記事はこちら。
■そごう・西武売却、1次入札締め切り セブン&アイ、候補絞り込みへ(2月21日)
小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスは2月21日、傘下で百貨店を運営するそごう・西武の売却先を募る1次入札を締め切りました。複数陣営からの応札があった模様です。今後は各陣営の提示条件を検討して候補を絞り込み、より詳しい条件提示を求めるなどして売却先を選んでいく見通しです。記事はこちら。
■雇用調整助成金の特例措置 少なくとも5月末までは延長へ(2月22日)
雇用を維持して休業手当を払った企業を支援する雇用調整助成金の特例措置の期限について、政府は3月末から少なくとも5月末までは延長する方向で調整に入りました。オミクロン株の拡大を踏まえました。6月以降については4月中にも改めて判断します。記事はこちら。
■日本円の「買う力」、半世紀ぶりの弱さ 輸入コスト増え家計に負担も(2月23日)
通貨の購買力を示す国際指標「実質実効為替レート」で、日本円が半世紀ぶりの低水準となったことが2月22日明らかになりました。円安の進行に加え、海外に比べて日本の物価が上がらないことが要因です。歴史的な低水準は今後も続きそうで、輸入品の値上がりを通じて企業や家計の負担感が増す懸念があります。記事はこちら。
■アメリカNY株が464ドル下落 11カ月ぶり安値に ウクライナ懸念続く(2月23日)
アメリカ・ニューヨーク株式市場で2月23日、主要企業でつくるダウ工業株平均が前日より464.85ドル(1.38%)安い3万3131.76ドルで取引を終えました。終値としては昨年3月末以来、約11カ月ぶりの安値となりました。ウクライナ情勢の緊迫化が続いていて、投資家のリスク回避の動きが広がりました。ダウの下落は5営業日連続で、下げ幅は計1800ドルを超えました。記事はこちら。
■テレワークでオフィス縮小、備品はどこへ? 「社内版メルカリ」も(2月24日)
いらなくなったオフィス家具はどこへ行くのでしょうか。買い取り業者には、テレワークの定着で事務所の縮小を決めた企業からの買い取り依頼が相次いでいます。大手フリマアプリからヒントを得て、社内で融通し合う仕組みも出てきています。記事はこちら。
経済部長から「駅前の顔はどこへ。百貨店の付加価値とは」
◎注目ニュースは「そごう・西武売却、1次入札締め切り セブン&アイ、候補絞り込みへ(2月21日)」
セブン&アイがそごう・西武を買収したころ、百貨店取材の担当をしていました。
駅前の一等地にある豪華な店構え、丁寧な接客ぶりは、人々の暮らしを彩り、時代の最先端をいく付加価値でした。
当時は閉店した古びた百貨店でもほどなく買い手がついて、新たな店がオープンしてにぎわっていました。
あれから15年、インターネット上でクリックすれば買える商品が、宅配で届く時代です。
コロナ下で「お出かけ」の機会も減り、リアルの店は遠のいています。
今回の入札で、本当に買い手がつくのでしょうか。駅前の顔のゆくえは、時代の付加価値の変化を映し出すはずです。
(朝日新聞東京本社経済部長・伊藤裕香子)