空き地と廃材から生まれる「不死鳥喫茶」。これからの時代に必要なワクワクのヒントとは #11

空き地と廃材から生まれる「不死鳥喫茶」。これからの時代に必要なワクワクのヒントとは #11

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大量の泡にまみれる、道を巨大なスライダーに変える、120万枚の花びらに埋もれるなど、奇想天外な発想力と実現力で、心踊る企画をつくり続ける体験クリエイター「アフロマンス」さんが“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

昨年の10月、SNSであるフライヤー(告知画像)が目にとまった。

「不死鳥ディスコ」

「空き地に再生す」

 

音楽イベントなのか、地域のお祭りのようなものなのか。

フライヤーからはイマイチわからないけど、「ジャケ買い」に近い感覚で遊びに行ってみた。

結果、想像以上に面白かったので、そこで見たものや感じたことをシェアしたい。

空き地と廃材から生まれる「不死鳥喫茶」

まずは、実際どんな感じだったか、動画を見てほしい。

フライヤー以上の情報は特に調べず、駅から歩いていくと、賑やかな音が聞こえ、奇妙な建築物が現れた。

周辺はマンションやコンビニが立ち並ぶ、ごく一般的な街並みなので、違和感がすごい。

また、渋谷や原宿のコアな場所、という訳でもない。

ここは、墨田区の京島の交差点の一角だ。

 

エリアの前に来て、ゾクゾクした。

直感が「面白そう!」と知らせてくる。

中に入ってみると、作りかけなのか、完成しているのかわからない建築物らしきものがいくつか建っている。

DJがプレイする音楽に合わせて、色んな人が広場で思い思いに揺れている。

 

幸運なことに、その場で主催者のバチスカーフの飯田くんを紹介してもらい、これが一体何なのかを教えてもらえた。

今日は「不死鳥ディスコ」という名前のイベントだが、場所は「不死鳥喫茶」というポップアップの喫茶店だった。

何もない空き地に、1ヶ月限定で建物をつくり、そこで店をやっているのだ。

 

そして、その建物も、解体現場からレスキューした古材を使ってつくっている。それが、つい最近できたばかりのかりそめの建物なのに、どこか昔からあるような趣を感じさせるのかもしれない。

 

不死鳥喫茶の向かいに、2階建ての建築物があるので、そちらにも登ってみた。

「野営」と荒々しく書かれた旗と、ミラーボール、そして「大入」の文字がかっこいい。

そして、子供用の滑り台があることにも気づいた。

僕は自分のバースデーに巨大なパイに突っ込む「パイスライダー」というイベントをやるくらい、スライダー好きなので、ここにも惹かれた。

話を聞くと、最初はなかったけど、ポップアップをやっている中で子供が来るようになり、途中でスライダーをつけたり、場所を変えてみたりしているらしい。1ヶ月間という、短すぎず、長くもない時間だからこそできることかもしれない。

何もない場所に現れ、消えていく街

僕が感じたことの1つに、「バーニングマン」に近い感覚があった。

知らない人のために簡単に説明すると、アメリカのネバタ州の砂漠で開催される約7万人が参加する巨大な祭だ。

規模感もすごいが、一番特筆すべきはイベントにつきものの「出演者」や「観客」という概念がないことだ。

砂漠の中には巨大なアートやフェスのようなステージが100以上並んでいるが、全ては参加者の持ち寄り。イベント主催側が用意しているのは会場の中心にそびえ立つ人型の「The Man」と、トイレやレスキューといった最低限のインフラのみだ。

 

派手な見た目で勘違いされやすいのだが、いわゆる「海外の音楽フェス」ではない。1週間限定で、参加者がつくりだす「仮想の街」という方が近い。

 

何もない砂漠に突如出現するバーニングマンという街と、下町の何もない空き地に1ヶ月のみ出現し、跡形もなく消えていく「不死鳥喫茶」には、どこか通じるものを感じた。

 

そして、バーニングマンの日本リージョナルイベントである「バーニングジャパン」のシンボルマークが「フェニックス」というところにもシンパシーを感じる。

ゲートはあるが、風通しはよく、クローズドではない。

歴史のないかりそめの村だからこそ、若者から子供、町の人から僕のような初見の人まで、幅広い人たちが集まり、楽しめるのかもしれない。

終わりがあるから頑張れる

「終わりがあるから頑張れる」

新宿歌舞伎町のサブカル界隈で一世を風靡したイベント「パリピズム」の主催者、みねおかさんが教えてくれた言葉だ。

 

店も、イベントも、企画も、長く続くことは当たり前にいいことのように思う。

一方で、現実には終わりのないものなどなく、店も、イベントも、建物でさえも、いつか終わりがくる。そして、終わりのないマラソンは誰でも疲弊していく。だらだらと続けた結果、いつの間にか消えていったものも多い。

「パリピズム」というイベントがすごいと思ったのは、明確に「終わり」を決めていたことだ。どんなに盛り上がっていても、この日に終わるという約束。だからこそ、終わりに向けて、主催者側も参加者側も、全力で頑張る。逆説的なのだが、終わりがあるから頑張れるのだ。

 

この「不死鳥喫茶」がどこまで意図されているかわからないが、空き地に出現する1ヶ月限定の村という、自ら終わりをしっかりと決めていることが、試行錯誤もふくめた変化を全力で楽しめるポイントかもしれないと思った。

「今あるもの」から生まれるクリエーション

不死鳥喫茶で面食らったのだが、東京の東にはまだ面白い企画があった。名前は「MASH UP 踏切ハウス」。百聞は一見にしかずなので、こちらも動画を見て欲しい。

踏切の前の家で、実際に通過する電車の踏切音に合わせて、レコードをかけ、BPM(打ち込みのスピード)を調整して、1つの曲のようにMASH UP(混ぜ合わせ)する企画だ。

動画で見てもらうとわかるが、なんとも言えない面白さがある。

MASH UPという手法自体はDJはじめ、音楽周りでよく使われるものだが、その場で流れている環境音とここまで見事に混ぜ合わせる企画は見たことがない。

 

引っ越しするとき、踏切前の家に住みたいという人はほとんどいないと思うが、「MASH UP 踏切ハウス」は踏切前じゃないとできない。

色んな視点で面白い企画だと思うが、不死鳥喫茶と共通するポイントとして、「今あるものを使っている」という点がある。

 

「空き地」「解体現場の古材」「踏切」

何かを企画し、作り出すとき、必要なものを(お金を払って)調達するのが当たり前だが、これらはそこにあったものを、まったく違う使い方をすることで新たな価値を生み出している。

なんでも買えばいい(終わったら捨てればいい)という世の中ではなくなっていく中で、これからの時代のワクワクする企画をつくっていく上で大事なポイントなんじゃないかと思う。


いかがだったでしょうか。

不死鳥ディスコ(不死鳥喫茶)を軸に、他の事例も交えながら

・何もない場所に現れ、消えていく街という発想

・終わりを決めることの重要性

・「今あるもの」から生まれるクリエーション

についてお話ししました。

これからの時代のワクワクを考えていく上でのヒントになれば幸いです。

PS

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