Z世代に「親と仲良し」が多いのはなぜ? 経済格差、親ガチャ……社会課題も影響か

Z世代に「親と仲良し」が多いのはなぜ? 経済格差、親ガチャ……社会課題も影響か

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若い世代の「価値観」は新たな環境の変化でどんどん進化を繰り返すといわれます。「おひとりさま」や「草食系男子」「年の差婚」などの言葉を世に広めたマーケティングライターの牛窪恵さんが、「ゆとり世代(さとり世代)」、「Z世代」の考え方、ものの見方について読み解きます。

マーケティングライターで、世代・トレンド評論家の牛窪恵(うしくぼめぐみ)です。今回は、Z世代の成人年齢引き下げと、Z世代の「親子関係」について、海外事情も含めてご紹介します。

神戸市の「成人お祝いの会」に出席した新成人=2022年1月10日、神戸市兵庫区、朝日新聞社
神戸市の「成人お祝いの会」に出席した新成人=2022年1月10日、神戸市兵庫区、朝日新聞社

「しっかり者」が多いZ世代 18歳成人に前向き傾向

2022年は、1月10日が「成人の日」でした。

この日成人を迎えたのは、まさに「Z世代」(私の定義で現18~27歳)の一部です。総務省統計局の調査によると、新成人人口(1月10日時点での20歳の数)は推計約120万人で、前年の2021年と比べて約4万人減ったとされています。

 

数は決して多くない一方で、これまでお伝えした通り、「しっかり者」が多い印象のZ世代。2022年は4月に「改正民法」が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられますが、大人年齢が早まることに対しても、Z世代は総じて前向きなようです。

 

たとえば、2018年に日本財団が行なった「18歳意識調査」では、成人年齢の引き下げについて「賛成」と答えた18歳(当時/現22歳前後)の男女は、約6割(60.3%)【表1】。「自分を(既に)大人だと思う」との回答も、約4割(37.1%)に及び、その理由に「十分な判断力があるから」を挙げた人が、4割以上(42.1%)もいました。

【表1】出典=<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2018/12/wha_pro_eig_02.pdf">2018年、日本財団「18歳意識調査(第1回)」</a>
【表1】出典=2018年、日本財団「18歳意識調査(第1回)」

また2021年、ソニー生命保険が行なった調査でも、「2022年4月1日から自分が成年(成人)になることは楽しみか?」と聞かれ、「非常に(どちらかといえば)そう思う」と答えた18、9歳が、やはり約6割(59.4%)。

その半面、同じ調査ではちょっと意外な傾向も見え隠れします。

彼らの親にあたる40~59歳の保護者に、「18歳成年(成人)についてどう思うか」を聞いたところ、「早すぎると思う」が全体の6割以上(61.4%)、とくに女性(母親)では、74.4%にも及んだのです【表2】。

【表2】出典=<a href="https://www.sonylife.co.jp/company/news/2021/nr_211129.html">2021年 ソニー生命保険「成年年齢の引き下げに関する意識調査2021」</a>
【表2】出典=2021年 ソニー生命保険「成年年齢の引き下げに関する意識調査2021」

近年は、わが子の就活にアドバイスする親が85%超にのぼるといった調査結果(2019年、ネオキャリア調べ)や、大学の入学式に出席する保護者が76%もいるというデータ(2019年、全国大学生活協同組合連合会調べ)が話題を呼んでいます。

こうした親が「(うちの子は)成人には、まだ早すぎる」などと考える現状を、おもに60代以上など一部の人たちが、「まったく、いまの親は過保護だから」や「子離れしていない」などと、冷めた目で見る向きもあります。

 

ですが、実は「仲良し親子」が指摘され始めたのは、今に始まったことでも、また日本に限ったことでもないのです。

マーケットが注目した「仲良し親子」。20年以上前から存在

日本において未婚で親と同居する子どもが「パラサイト・シングル」として広く注目されるようになったのは、社会学者の山田昌弘教授(現・中央大学)が、著書『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)を出版した1999年ごろ。

このころ、成人年齢を過ぎ、30歳前後になっても、母親と仲良く買い物したり外食したりする娘たちの様子が報道され、「仲良し親子」や「一卵性母娘」などと呼ばれるようになりました。

getty images
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2000年代に入ると、こうした親子の繋がりに、企業各社も注目し始めます。

かくいう私も2004年、住宅メーカー大手の積水ハウスと弊社(インフィニティ)との2社共同で、新たな住まい(「カーサ・フィーリア~娘と暮らす家」)開発のマーケティング調査に着手し、スタッフと約2年間かけて、およそ400人の母と娘にインタビューを繰り返しました。

 

当時ターゲットと考えたのが、おもに団塊世代(現70代前半~半ば)の母親と、その娘にあたる団塊ジュニア女性(現40代半ば~後半)。娘たちは当時、アラサー年齢でした。

このころから30歳を過ぎても結婚せず、親と同居しながら働き続ける女性たちが、顕在化し始めていました【表3】。

 

そんな娘たちは、親がシニア年齢となり「家を建て替えよう」となった際、父親より発言権をもつはず。

なにより、団塊世代と団塊ジュニアは人口構成上も、それぞれ日本で1、2番目に数が多く、マーケットとしても有望である、それが彼女たちに注目した理由です。

【表3】<a href="https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/DATA/pdf/207750.pdf">国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)第14回、15回」</a>
【表3】国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)第14回、15回」

Z世代はまさに、そんな団塊ジュニアの“子”にあたるケースが多いのです。

自分たちの母親世代(団塊ジュニア)は、若いころ少なからず「ママ、一緒に行こうよ」や「共有しようよ」などと呼びかけて、外食や旅行、エステ、あるいは洋服を買いに行くなど、母娘で共に消費を楽しんでいました。

そんな母親たちが、やがて成人年齢の子(おもにZ世代)の親になったとき、同じようにわが子と仲良くしよう、いろいろ相談にのってあげようと考えるのも、自然な流れですよね。

 

「でも最近は、娘だけじゃなく息子と仲がいい母親も多いよね」「あれって、おかしいんじゃない?」と疑問視する声も、一部からは聞こえてきます。

確かに、Z世代の息子と母親の多くは、仲がいいようです。母親世代に調査や取材を行なうと、圧倒的に「息子ラブ」で「息子が1番」な様子が見てとれます。

2017年、マンダムが高校生・大学生の息子と同居する女性(母親)に聞いた調査でも、「家族に順位をつけるとしたら?」と聞かれ、1位に「息子」をあげた母親が、約4割(39.1%)。2位の「自分」(22.2%)とは2割近く差が開き、「夫」は3位(20.6%)に留まりました。

 

一方の息子たちも、「親ラブ」ぶりが顕著です。もっとも、私が2008年、草食系男子の本を書いたころから、若い男性(現・30代後半)が「ママとパンツ(ボトムス)のサイズが同じだから、ユニクロでママに試着して買ってきてもらう」や「2人でよく、韓流ドラマを観る」と話すのを、よく耳にはしていました。

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