豆腐は地球を救う? ヒット商品「TOFU BAR」に込められた豆腐愛

豆腐は地球を救う? ヒット商品「TOFU BAR」に込められた豆腐愛

ビジネス

「懐の深い食材」と増していった豆腐愛

――池田さんが入社した2018年当時から、豆腐業界は縮小傾向にありました。

豆腐のメインユーザーが高齢化し、若者の消費量が減っているのが豆腐業界の課題でした。

アンケートを取ると、食生活は変化しているにもかかわらず、豆腐の食べ方は数十年前とほとんど変わっていないことがわかりました。さらに毎日のように食べている人となると、年配の方がほとんど。

 

ただ「ソイラテ」など大豆にまつわる製品は人気ですし、若者に受け入れられるポテンシャルはあるはずだと思っていました。だからこそ、若者も食べられるような、進化した豆腐を作りたかったんです。

 

 

――基本フレーバーの「和風だし」と「柚子胡椒味」はどうやって生まれたのでしょうか。

ベンチマークとしていたのがサラダチキンだったので、ラインナップにある味つけはひと通り試しましたが、豆腐には合いませんでした。

さらに「カレー味」や「すき焼き味」、「ワサビ味」などのフレーバーを試しましたが、味が濃すぎるのも良くありませんでした。豆腐の奥ゆかしさに合わないというか……似合わない服を着せているような不自然さがあるんです。

「和風だし」(左)「柚子胡椒風味」のTOFU BAR
「和風だし」(左)「柚子胡椒風味」のTOFU BAR

現在は味噌汁をイメージした「和風だし」、鍋に入れる薬味をイメージした「柚子胡椒味」の2種類にしています。どちらも豆腐の無垢(むく)な味わいを引き立てられる味付けになったと思っています。

 

 

――お話をうかがっていると強い豆腐愛を感じます。豆腐への熱量は元々高かったのでしょうか。

転職するまで、豆腐への思い入れは一般の人と変わらなかったと思います(笑)。入社してから豆腐の作り方をいちから学び、製造過程なども間近で見るようになりました。そこで、水の違いや絞り方だけで味が大幅に変わる奥の深い食材ということを知って……。

各社の製品も食べ比べることで、味や舌触りの違いも感じられるようになりました。今では毎食のように豆腐を食べて「こんなに豆腐のことを考えたことはないのでは」というくらい豆腐のことばかり考えていますね(笑)

 

ちなみに、醤油や薬味をかけずそのまま食べると、味の違いが分かりやすいのでおすすめです。

とにかく豆腐は特売の対象になるなど、ぞんざいに扱われがちです。そんな食べ方をされてもしっかりとおいしく、それを受け入れてくれる豆腐の懐の深さというか……。

「なんと奥ゆかしい食べ物なんだろう!」と豆腐への愛は知れば知るほど増していきます。

 

根底にあったのは「私が諦めてはいけない」という思い

――前職は同じ食品業界でも、菓子業界でブランドマネージャーなどを担当していたんですよね。菓子業界で得たスキルや知識は、アサヒコでどのように活かされていますか。

私は20年近く菓子業界に身を置き、国内や海外、コンビニやスーパーをはじめ、お土産や百貨店など、ひと通りのお菓子に携わることができました。そこで、お菓子は国境や年齢・性別を超えて人を幸せにしてくれる「心の栄養」だとしみじみ感じたんです。だって、お菓子を食べて怒る人はいませんよね。口にするとつい微笑んでしまうし、落ち込んだ時の助けになります。

 

そして「今度は身体の栄養も考えたい」という考えに至り、アサヒコに転職しました。

「人生100年時代」と言われていますが、これからは生き生きと暮らすことが重要になってくるはず。そんな世の中で、今まで培ってきた知識や経験も活かせたらいいなと。

 

畑は違えど、自分の中で共通しているのは「食を通して社会に貢献したい」という思いです。自分が世に送り出した商品たちが人のためになればという思いが根底にあります。

 

 

――はじめての豆腐業界でTOFU BARを開発するにあたり、開発メンバーとはどのように連携しましたか。

コンセプトがうまく伝わらなかったのか、当初は社内でも理解を得られませんでした。

 

ですが、調査を重ねて、自分の中にあるTOFU BARのイメージを伝えられるようになると、開発メンバーと役割分担をして進めていくことができました。

「バータイプ」というコンセプトが固まってからは、目的意識も共有でき、一丸となって開発に取り組めたと感じます。

私は豆腐に関して素人なので、豆腐の製造や開発に長らく携わっている社員からすると発想がぶっ飛んでいたのかもしれません(笑)

 

一方で開発メンバーも「豆腐はこういうもの」という確固たるイメージがあるので「豆腐バー」という発想はなかったのかもしれません。

素人と玄人が協力することで、新しいアイデアと確かな技術と知識が組み合わさり、ヒット商品になったのかもしれません。

 

 

――精力的に活動されている池田さんですが、これまでに生まれた苦難や壁をどのように乗り越えてきたのでしょうか。

前職でキャンディーの開発を担当していたとき、家事をしながら食べている主婦層が多いということがわかりました。

 

さらに調査を進めると「家族のために頑張りたい」という使命感やポリシーを持ち、面倒な家事に取り組むための気持ちをギアチェンジするきっかけとしてキャンディーを食べているということがわかりました。

「それなら彼女たちを応援するため私はもっと良い商品を開発しよう」と励むようになりました。

 

その思いは現在とも共通していますし、自分がくじけそうになっても「私が途中で諦めちゃいけないんじゃないか」という思いで踏ん張ることができます。

自分が力を尽くしている様子は、社内のメンバーにも熱量として伝わるはずだし、商品を通してお客さんにも通じるはずだと信じています。

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