「ダサいは褒め言葉」 参加者と育てるワクワクする企画のつくり方 #10

「ダサいは褒め言葉」 参加者と育てるワクワクする企画のつくり方 #10

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大量の泡にまみれる、道を巨大なスライダーに変える、120万枚の花びらに埋もれるなど、奇想天外な発想力と実現力で、心踊る企画をつくり続ける体験クリエイター・アフロマンスさんが“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

先日「ダサセーターパーティー」というイベントを開催した。その名の通り、ドレスコードは「全員、ダサいセーター」。

前売チケットを買っても、当日ダサいセーターを持参しないと参加できないという注意書きのあるイベントだ。

「そんなイベント誰が参加するんだ?」と思うかもしれないが、前売チケットは完売し、当日も大盛況で、「ぜひ来年も参加したい」という声が続々と届いている。

この奇妙なパーティーに隠された、ワクワクをつくる企画のポイントを紹介したい。

「ダサいは褒め言葉」 価値観のゲームチェンジ

誰だって、日頃から「ダサい」とは思われたくないだろう。だから、かっこ悪いところは見せたくないし、周りから浮かないようにトレンドを調べたり、オシャレに気を使ったりする。

たまに「量産型女子」なんて冗談みたいな言葉もあるが、それくらいSNSが浸透した世の中では、他人の目は気になるものだ。

しかし、このイベントでは「ダサい」は褒め言葉になる。

実際、笑顔で「ダサいね!」を「最高だね!」と同じノリで使う。

イメージは、トランプゲームの大富豪が大貧民にひっくり返った感じ。天動説から地動説。価値観のゲームチェンジだ。まずは、この感覚が楽しい。

 

また、「ドレスコード=全員ダサセーター」というのも大事なポイントだ。これが、一部の人だけがダサセーターで参加すると、見せ物になってしまう。

たまに、ドレスコード通りに行ったら、誰も守ってなくて「裏切られた!」という経験をした人もいるだろう。心を開く上で、心理的安全性はとても大事だ。

「ダサセーター、みんなで着れば怖くない」

最初は恐る恐る参加した人たちも、周りの人たちが皆ダサいことを確認できたら、安心して「価値観がひっくり返った非日常」を楽しむことができる。

「ダサい」をきっかけに人と人がつながる

たくさんの人がダサセーターで集まると何が起こるかというと、お互いのダサセーターをネタに会話が始まる。

よく交流会などで、ネックストラップに自分の名前やキーワードを書いて会話を盛り上げようとする仕掛けがあるが、このイベントは上半身全部が話のネタになっているので、自然と会話が弾む。しかも、お互い言ってほしい言葉は決まっている。「ダサいね!」だ。

お互いが「いかにダサいか」を褒め合う。そんな会話、笑わずにはいられない。イベント側が誘導しなくても、勝手に色んな場所で盛り上がり始める。

また、「ダサい」は多様性の宝庫というのもポイントだ。

派手派手しくも可愛らしいセーター、なんとも言えない絶妙な配色のセーター、変なモチーフのセーター、LEDがチカチカと光るセーター、セーター以外もふくめて全身でダサさを表現する人……。

さまざまな「ダサさ」を見ていると、「ダサいってなんだっけ?」という疑念が湧いてくる。

今まで「トレンド」や「オシャレ」については注目してきただろうが、その逆「ダサい」について深掘りして考えた人など、ほとんどいないだろう。

 

だからこそ、ファッション誌が提案するような「正解」がない。

「ダサい」というテーマを設けることによって、ファッションが本来持っている「自己表現」や「多様性」が生まれやすくなる。十人十色だからこそ、色んな人と話しても飽きないし、そこがダサセーターの魅力でもある。

「コンテンツは参加者」 だからこそ可能性は無限大

良いことづくしのようなダサセーターパーティーだが、企画する側としては1つ大きな不安要素がある。それは「最大のコンテンツは参加者」という点だ。

ダサセーターはイベント側が用意するものではなく、あくまで参加者が考え、持参するもの。そして、そのクオリティは参加者に委ねられている。つまり、参加者頼みの企画だ。

当日、ふたを開けてみないとわからない。これはサービスを提供する側からすると、結構不安だ。

 

この参加型企画の永遠の悩みとも言える部分を、うまくいかせるコツがある。それは「数を求め過ぎないこと」だ。

ダサセーターパーティーのような参加者自身がコンテンツになる企画は、参加者の数以上に質がとても大事になってくる。数字を追い求めすぎると、参加者の質が下がり、体験自体の質も下がってしまう。だから、適切な数の目標を立てることが重要になってくる。

とはいえ、大きくできないかというと、そういうことではない。大事なことは「徐々に大きくする」ことだ。

今年参加した人は、他の参加者を見て、来年はもっとクオリティを上げてくるだろう。そして、本当に面白いと思ってくれた人は、周りの人を誘ってくる。そうやって、イベントやコミュニティ、カルチャーを参加者と一緒に育てることが大切だと思う。

 

「参加者がコンテンツ」の企画はコントロールできないため、難しい部分もあるが、「企画側の数人が考えたこと」より「参加者全員がそれぞれ考えたこと」の方が、圧倒的にアイデアや表現の幅も広く、うまくいけば面白い。まさに可能性は無限大に広がる。

ダサセーターパーティーに関しても、来年の不安よりも、どんなダサセーターが集まるのか、今からワクワクしてしょうがない。

「何をするか」はコピーできるが、「誰がいるか」はコピーできない

最後に、これから先のことを妄想してみよう。

 

仮に今後、このイベントに自主的に参加する人が100人、300人、1000人と拡大していったとしよう。

その様子を見た企業が「うちもダサセーターのイベントをやりたい」と言って、大きな予算をかけて、大量のダサセーターを購入して、来場者に着せるイベントをやったとしても、「数百人のダサセーターの人が集まっている絵」はできるが、体験としてまったく別物になるのは想像できるだろう。

ビジュアルが先行するSNSの時代は、結果だけを見て、結果をそのまま再現しようとすることが多い。しかし、何をするかはコピーできるが、そこに誰がいるか(どういう思いで参加するか)はコピーできない。

つまり、参加者と一緒につくっていくというのは、お金では買えないコミュニティやカルチャーをつくっていくということだ。

 

すぐに手に入るものは、すぐに奪われるが、地道に築いたものは、簡単に真似はできない。そこも参加者とともにつくっていく価値だと思う。

いかがだったでしょうか。

「ダサセーターパーティー」という企画を通して、

・当たり前の価値観を転換させる面白さ

・参加者同士の共通項が生む交流

・参加者がコンテンツの企画では、数を求め過ぎず、徐々に大きくすること

・そして、参加者とともにつくることで、コピーできない企画が生まれること

をお伝えしました。

 

ワクワクする企画をつくるときの参考になれば幸いです。

P.S.

本コラムの感想や、こんな話が聞きたいなどは、下記のコメント欄か、Twitterで「#ワクワクをつくる企画術」をつけて書いてもらえれば読みます。

また、ダサセーターパーティーは来年の開催日も2022年12月16日(金)と決めています。絶対に忘れると思うので、ぜひ参加したいという人は公式サイトからLINE公式アカウントに登録してみてください。

ダサセーターパーティー公式サイト

アフロマンス
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