「リモートワーク可」=「働きやすい会社」?  自分に合った「働きやすさ」をみつけよう

「リモートワーク可」=「働きやすい会社」?  自分に合った「働きやすさ」をみつけよう

キャリア

コロナ禍によって急速に広まったリモートワーク。新しい働き方に「まだ慣れない」「チームをうまくまとめられない」など課題を感じている方も少なくないのではないでしょうか。リモートワークなど多様な働き方について詳しい、リクルートマネジメントソリューションズの武藤久美子さんがリモート時代の仕事の進め方や考え方、そしてキャリアについて解説します。

このコラムでは、リモートワークが若手のみなさんにもたらす影響を紹介したうえで、会社やみなさんのマネジャー(以下、上司と記載)が何を考えているのかについても取り上げていきます。

リモートワークがもたらした変化を立体的に理解することで、リモート時代のよりよい仕事の進め方やキャリアの築き方のヒントにしていただければうれしいです。

3回目の今回は、リモートワークと転職、ということで、転職先にリモートワーク制度があるかどうかを会社選びの判断材料にする際、知っておきたいことについてお話しします。

リモートワークの関連ワード、転職サイトで上位に

転職サイトリクナビNEXTによると、リクナビNEXTで検索されたキーワードの12位が「在宅勤務」、24位が「フルリモート」、40位が「リモートワーク」、46位「在宅」でした。

1位「未経験」、2位「事務」、3位「営業」といったキーワードが並ぶ中、リモートワーク関連と思われるキーワードが上位50位以内に4つ入っています(株式会社リクルート リクナビNEXT「みんなが検索したキーワードランキング」集計期間2021年11月24日~30日)。

ちなみに、2014年は「在宅勤務」も「在宅」も100位圏外だったそうです(株式会社リクルートキャリア ※社名は当時 『リクナビNEXT』「検索ワード」調査2020年)。

在宅勤務で必要最低限の出社となり、閑散とするオフィス=2020年2月、福岡市博多区、朝日新聞社
在宅勤務で必要最低限の出社となり、閑散とするオフィス=2020年2月、福岡市博多区、朝日新聞社

この傾向は新型コロナウイルス発生以前からあったことですが、新型コロナウイルス発生を機に、リモートワークを経験した方が多いことが以前と異なります。

リモートワークの良さを実感し、転職先でも何らかの形で続けたいと思う方も多いでしょう。

 

そして、これまで原則出社だった方が転職する際にも、リモートワークができる会社を選んでいることが想定されます。

これは、生活の質の向上といったリモートワーク自体が直接もたらすメリットによるところももちろん多いと思いますが、加えて、リモートワークが「働きやすい会社」「社員を大切にしている会社」「裁量を持って働ける会社」であることを端的に表すキーワードと認識されていると感じます。

働きやすさが気になる方にとっては、求人票や企業のホームページに記載されていることが多いリモートワーク制度の有無は、重要かつ比較的容易に確認できる情報になっていると想定されます。

 

リモートワークは働き方改革の一つだった


リモートワークができるかどうかを重要な判断材料とする方が多いことはうなずけますが、それが「働きやすい会社」「社員を大切にしている会社」「裁量を持って働ける会社」と同義かと言われると、必ずしもそうではありません。

筆者は2013年ごろから企業の働き方改革推進のご支援を本格的にしていますが、もともとリモートワークは多くの働き方改革の選択肢の一つだったのです(図でいう太字の部分がリモートワーク関連の施策)。

働き方改革推進の施策一覧 =「リモートマネジメントの教科書」(武藤久美子著、クロスメディア・パブリッシング)
働き方改革推進の施策一覧 =「リモートマネジメントの教科書」(武藤久美子著、クロスメディア・パブリッシング)

もちろん、転職を希望する会社がこれらの施策をどれくらい行っているかを知ることは難しいかもしれません。

しかし、転職について考える際に「働きやすい方がいいよね」と漠然と考えるよりも、「自分にとっての働きやすさとは何を指すのだろうか」「自分が望む働き方はどのようなことなのだろうか」と考えてみるほうが良いのではないでしょうか。

その方が、転職した後のミスマッチが少なくなりますし、そもそも転職が必要ないことに気がつく可能性もあります。

 

今は満たされていて、なくなっては困る条件に目を向けよう


転職とリモートワークというテーマに関連して、「当たり前条件」についてお話しします。

以下のグラフは、当社のeラーニングサービスを利用した新入社員の方々に「仕事をするうえで重視するキーワード」を最大2つ選んでもらったものです(キーワードにはそれぞれ「貢献:人や社会の役に立つ、感謝される」「仕事以外:プライベートの充実をはかる、仕事以外の楽しみを持つ」といったようにキーワードの意味を示したうえで回答していただいています)。

 

結果、1位は「貢献」、2位は「成長」、3位は「やりがい」でした。

こうした貢献や成長といったキーワードが上位に来るのは、他の調査結果でも近いものを見かけます。新入社員の調査結果を引用したのは、20代後半~30歳前後は初めて転職をする方が多いからです。

新卒のときに、仕事で重視していた貢献感が抱けない、成長が鈍化しているといった思いが転職を後押しすることがあるのではないかということが見て取れます。

「新入社員意識調査2」(2021年)=リクルートマネジメントソリューションズ
「新入社員意識調査2」(2021年)=リクルートマネジメントソリューションズ

しかし、「次は成長できる会社を選ぼう」という強い思いで転職した方が、「転職前はリモートワークを活用していた。確かに転職先では成長できるという点では申し分ない環境である。でも、リモートワークが認められないので働き方の自由度が下がった気がする」といったことで転職を後悔することがあります。

転職を考える際は「成長できない」「貢献感が抱けない」と、今満たされていない条件に目を向けがちです。一方で、転職前には満たされていて、自分にとって重要な条件が満たされなくなることで転職を後悔することがあります。

自分にとって「当たり前」になっていたので、気がつきにくいのが難しいところです。

 

「リモートワークによって働く場所を自分で選べること」は一例ですが、前職にいたときに当たり前に提供されていたこと、満たされていたことのうち、転職の際もなくてはならないことは何かを考えることは後悔しない転職をする上で重要なことではないでしょうか。

 

以上、今回は、リモートワークを転職の際の条件とするか、というテーマについてご紹介しました。次回は、「マネジャーが抱えるリモートマネジメントの悩みと対応策」というテーマでお届けします。
 

(このコラムは月1回掲載予定です)

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