ここにしかない体験を求めて。ローカルでのワクワクする体験のつくり方 #9

ここにしかない体験を求めて。ローカルでのワクワクする体験のつくり方 #9

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大量の泡にまみれる、道を巨大なスライダーに変える、120万枚の花びらに埋もれるなど、奇想天外な発想力と実現力で、心踊る企画をつくり続ける体験クリエイター「アフロマンス」さんが“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

突然ですが、鍾乳洞を水風呂にしているサウナをご存知でしょうか?

百聞は一見にしかず。こんな感じです。

「鍾乳洞風」ではありません。

本物の鍾乳洞の水が溜まっている場所を、サウナの水風呂として利用しているのです。

こちらは大分県豊後大野(ぶんごおおの)市にある日本最大級の水中鍾乳洞「稲積(いなづみ)水中鍾乳洞」です。

豊後大野市は、2021年7月18日に「サウナのまち」宣言をしたことでも有名です。大分県が「おんせん県」としてPRする中、豊後大野市には温泉がなかった。そこから発想の転換で、今トレンドにもなっているサウナを使って観光PRをしていこうという話です。

 

そして、私はこの鍾乳洞のサウナ(水風呂)に入るために大分県に行きました。

この鍾乳洞の水質が、特別カラダにいいから行ったわけではありません。鍾乳洞を使った水風呂があると聞き、体験している人の写真を見て、「これは行きたい!」「体験したい!」と思い、行きました。要は、理屈じゃない感覚です。

 

実際、この鍾乳洞のサウナは、数ヶ月先まで予約が埋まるほど人気なんだそうです。

この行動を起こさせる感覚って大事だと思いませんか?

これをローカルならではの「ワクワクをつくる企画術」の視点で考えてみたいと思います。

「そのために行きたい」と思う体験とは?

行動を起こさせ、遠方からでも人を呼び寄せる「そのために行きたい」と思わせる体験とはどんなものなのか?

私なりの結論を言うと、そこにしかないロケーション(ハード)と、ニーズのある体験(ソフト)の組み合わせだと思っています。

ハードとソフト、もちろん硬いと柔らかいという意味ではなく、例えば、ゲーム機とゲームソフト、スマホの本体とアプリのようなイメージです。

天然の鍾乳洞という「ここにしかないハード」と、サウナという「トレンド性のある体験ソフト」の組み合わせによって、ここにしかない、そのために行きたいと思わせる体験になっています。

 

今、都心をはじめとした大都市では大型の開発や投資により、次々と大型施設ができています。また、物流も発達し、ある程度のものは何でも手に入ります。そんな時に、コピーも輸送もできない「ここにしかないロケーション」は、ローカル独自の強い武器として、これから重要性は増していくと思います。

また、ただロケーションを打ち出せばいいのかというと、ゲーム機の本体だけあっても意味がないように、「そこで何ができるか」という体験ソフトが大事になってきます。

 

例えば、ガイドマップの写真を見て行ってみたら、特にやることがなく滞在10分で帰ってくる。まぁきれいだったけど、人にオススメするほどじゃないかな……。そんな経験はありませんか?

見せることだけを売りにしようと思うと、画力のみの勝負になってしまいます。一方で、体験を組み合わせることで、その場所にしかない特別な体験が生まれる可能性があります。

体験といっても、何も大掛かりなことが必須ではありません。

「食事ができる」

「宿泊ができる」

「ライブを楽しめる」

こうした「体験ができる」となった瞬間に、そこはただのきれいな景観から、特別な体験の場に変わります。

 

もちろん、何でも組み合わせればいいというわけではありません。

体験自体のニーズの有無、組み合わせの意外性やビジュアル的なインパクト、そして、豊後大野市が「温泉がないゆえに蒸し風呂の文化があった」といった土地が持つ歴史とのリンクがあると、よりいいと思います。

大切なのはローカルとトレンドのバランス

ローカルの企画について、もう少し深掘りしてみましょう。

よく見られるのは下記のようなパターンです。

(A)徹底したローカル(地元)主義の企画

食であれば素材やメニューはすべて地元由来のもの、イベントであればすべて地元出身や出演者、関係各社もすべて地元…といった徹底したローカル主義を意識したもの。

(B)全国同じ質で拡大するチェーン型の企画

企業等が主体となり、全国チェーン店のように同じ見た目、クオリティを担保する形で全国に広げているもの。全国に広げるだけあり、最新のニーズやトレンドをつかんでいることが多い。

このどちらかのパターンが多いです。

 

(A)は地元を大切にしたいという想いもありますし、(B)のような大型資本 から地元を守るという意識でやっている方もいます。結果、お互い反発しあっているのも見かけます。

大事なことは、どちらか一方ということではなく、ハードとソフトのようにローカルとトレンドがうまく組み合わさることです。

地元が持つハードは、ロケーションはもとより、地元の名産やそこに住む人など多岐に渡ります。

 

一方で、

「そこで何をやるか」

「どう料理するか」

「どう伝えるか」

といったソフト部分は、地元を超えた全国的なトレンドやニーズが大事ですし、都心の企業やクリエイターが得意な部分もあります。

どちらが偉いとか正しいとかではなく、お互いを認め、リスペクトすることで、ローカルの内と外が交流し、「そこにしかない」かつ「求められるもの」が生まれると思います。

「また行きたい」と思う体験とは?

最後に、鍾乳洞の水風呂を目的に行った大分県ですが、サウナのまちの主催メンバーの一人、江副くんがやっている「ロッジきよかわ」に泊まりました。2泊3日、そこのメンバーとたくさん交流し、仲良くなりました。

そして、ロッジきよかわだけでなく、鍾乳洞のサウナのオーナーや熱波師、他の面白い場所や人も紹介してもらい、とても充実した大分の旅になりました。

 

イベントの例で言えば「イベントでの参加者の満足度に大きく影響するものは何か?」という話のときに、「誰かと話せたかどうか」が大事という話があります。

「何を体験するか」もありますが、「誰と体験するか」そして「誰とどんな交流が持てたか」は、体験の満足度に大きく影響します。

「行きたい!」と思った一番の目当ては、鍾乳洞のサウナでしたし、実際にとてもいい体験でした。そこに加えて、江副くんたちとの交流により、お客さんから関係者になったような気持ちになりました。

ただの旅先から、もう1つの故郷ができたような気持ち。

だからこそ、また行きたいし、誰かを連れて行きたい。そして、何か困ったことがあったら助けたいというつながりになりました。そういった人と人の交流も大切な一面だと思います。

 

ちなみに、ロッジきよかわも素晴らしい場所だったので、純粋におすすめです。

いかがだったでしょうか?

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