【1996年11月23日】25年前、バンダイが「たまごっち」を発売、一大ブームに

【1996年11月23日】25年前、バンダイが「たまごっち」を発売、一大ブームに

ビジネス

「10年前にこんなことが…」「あのサービスは20年前から?」。ビジネスシーンの会話の“タネ”になるような、過去に社会を賑わせた話題を不定期で紹介します。

25年前の1996年11月23日、大手玩具メーカーのバンダイが「たまごっち」を発売しました。

なかなか買うことができなかった発売直後の初代たまごっち=1997年2月、朝日新聞社
なかなか買うことができなかった発売直後の初代たまごっち=1997年2月、朝日新聞社

名前の由来は「たまご」と「ウォッチ」の掛け合わせ。たまごより小ぶりで指先に乗る大きさ53ミリのおもちゃは、瞬く間に世界中で大ブームとなりました。

たまごっち発売を最初に報じた1996年11月29日付朝日新聞朝刊
たまごっち発売を最初に報じた1996年11月29日付朝日新聞朝刊

バンダイは「デジタル携帯ペット」という触れ込みでたまごっちを売り出しました。2センチ四方の液晶画面が舞台です。

たまごからかえった「仮想ペット」は毎日少しずつ成長し、ご飯やおやつをあげて、遊び相手となり、うんちを処理をしてあげるのが「飼い主」の役割。

上手にお世話をしてあげると喜びますが、甘やかしすぎるとわがままに育ってしまう一面も。

一方で、ケアをサボると不機嫌になり、音を立ててお世話をせがむようになるのが特徴です。それでも面倒を見てあげないと病気になり、さらに放置すると死んでしまいます。

 

販売価格は1980円。仮想ペットの可愛さと親近感、それに手頃感が話題になり、まず10代女性の間で人気に火がつきました。

たまごっちブームのことを伝える1997年1月26日付の朝日新聞朝刊
たまごっちブームのことを伝える1997年1月26日付の朝日新聞朝刊

当時の朝日新聞の報道によると、はじめの2日間で6万個が売れ、全国で品切れ店が続出したそうです。バンダイには買える店舗の問い合わせなどの電話が連日、100本近く殺到したそうです。

たまごっち人気は10代の女子中・高生だけでなく、すぐに男子中高生にも広がりました。さらに会社員たちの間でも一大ブームになりました。

初回出荷の30万個はすぐに店頭から姿を消し、追加発売の情報が広まると、店舗前にはどこも長蛇の列ができました。通勤・通学の電車のなかでも、たまごっちに興じる姿があちこちでみられるようになりました。

お祭りの屋台に並ぶたまごっち=1997年5月、東京・浅草、朝日新聞社
お祭りの屋台に並ぶたまごっち=1997年5月、東京・浅草、朝日新聞社

自らの手でたまごっちを育てるという疑似ペット体験を楽しめるだけでなく、友だちや同僚と「自分のペット」の話で盛り上がることができたことが人気につながったようです。

バンダイの担当者は「想定外」の盛り上がりに当時、「正直言って、人気を読み誤った」とコメントしたそうです。

バンダイは1997年のはじめまでに55万個のたまごっちを出荷。すぐに増産に着手し、この年の3月末までに300万個を販売しました。

売れ行きが好調で300万個に届きそうな勢いだと伝える1997年1月23日付朝日新聞朝刊
売れ行きが好調で300万個に届きそうな勢いだと伝える1997年1月23日付朝日新聞朝刊

英語でも「Tamagotchi」という愛称で親しまれ、この年の5月からはアメリカとヨーロッパでも販売が始まりました。

イギリスの新聞デイリー・テレグラフは日本の女子中・高生の間でブームとなった「たまごっち現象」を引き合いに、社説で「(たまごっちの登場が英国内の)ペットフード産業や、市民の精神状態に及ぼすかもしれない」などと、悪影響についても言及しました。

一方、小さな液晶画面の中で「飼育」が完結する遊び方にも着目し、「犬や猫のように路上でフンをしたり、うるさく鳴いたりしないのはいいニュースだ」とも指摘しました。

1997年4月からの1年間で、バンダイはたまごっちだけで460億円を売り上げ、空前の大ヒットとなりました。

 

ただ、ブームは長続きはしませんでした。

1998年は前年に起きたアジア通貨危機の影響で国内景気が低迷し、おもちゃ業界にとっては不振の1年でした。

バンダイは1998年度の販売について、当初は一気に85億円ほどに落ち込むと予測し、生産計画を練り直しました。

しかし、ブームの終息は予想以上のスピードで加速し、実際には21億円ほどしか売れませんでした。

景気低迷でたまごっちが売れなくなり、在庫の山ができていることを伝える1998年9月26日付朝日新聞朝刊
景気低迷でたまごっちが売れなくなり、在庫の山ができていることを伝える1998年9月26日付朝日新聞朝刊

そしてこの年、バンダイはたまごっちの生産を中止しました。

在庫は国内だけでなく、海外でも山積みになりました。

バンダイは海外分の在庫を処分するために60億円の特別損失を計上しました。このため、1999年3月期決算では会社全体でも赤字となり、大ブームの末路は苦いものになりました。

 

それでもバンダイは2004年、第2弾となる「かえってきた!たまごっちプラス」を発売。

赤字を招いた教訓を踏まえ、無理な増産はせず慎重に市場動向を見極めるながらの再挑戦でした。

仮想ペットを育てる従来の遊び方だけでなく、赤外線通信機能を使って友人らのたまごっちと「交流」できる機能が加わるなどの「進化」をみせたことが特徴でした。

 

バンダイは2005年、ゲーム大手のナムコと持ち株会社を設立し、経営統合しました。いまの「バンダイナムコホールディングス」の発足です。

新会社になってもたまごっちプラスの生産は続き、この年の年末までに全世界で1000万台を販売しました。

たまごっちが再びブームになっていることを伝える2011年11月23日付の朝日新聞朝刊
たまごっちが再びブームになっていることを伝える2011年11月23日付の朝日新聞朝刊

販売数はその後もじわりと伸び続け、市場は日本を含む50以上の国や地域に広がっています。

バンダイナムコホールディングスによると、初代のたまごっちからの販売量は累計で8200万台以上になっているそうです。

ビジネス

働くあなたへ シネマサプリ

「コンビニ限界説」に挑む

新・若者進化論