FIREにも好影響をもたらす「海外留学のススメ」。固定観念から抜け出し、人生を豊かに

FIREにも好影響をもたらす「海外留学のススメ」。固定観念から抜け出し、人生を豊かに

ライフ・マネー

三菱系の大手企業に勤めながら徹底した倹約と資産運用を続け、30歳でFIRE(Financial Independence, Retire Early=経済的自立と早期退職)を実現した穂高唯希さん。FIREという生き方の魅力やFIREがいま注目される理由、FIREと従来の早期退職の違い、FIREの目指し方などについて、実体験を元にお伝えします。

「異質なものに触れること」はなぜ大切か

こんにちは、穂高 唯希です。

 

bizbleの読者層は主に若い方々だと聞いています。

そのような若い方々を始めとした読者のみなさまに、私がこのコラムを通して伝えたいことがあります。

 

それは、もっと海外に出ようということです。

日本の海外留学者は年々減っているそうです。

この現象には非常に危機感を覚えます。

アメリカに留学する日本人が減っていることを報じる2017年12月4日付朝日新聞夕刊。しかし、実は留学する日本人自体が減っている。記事によると、海外の大学などに留学した人の数は、2001年の約7.8万人から2014年には約5.3万人に減った
アメリカに留学する日本人が減っていることを報じる2017年12月4日付朝日新聞夕刊。しかし、実は留学する日本人自体が減っている。記事によると、海外の大学などに留学した人の数は、2001年の約7.8万人から2014年には約5.3万人に減った

私は大学生の時に海外に留学しました。

この経験がなければ就職活動も確実にうまくいかなかったでしょうし、FIREを実現することも難しかったと思います。

それぐらい大きな、経験という財産になりました。

 

先日あるセミナーで講師を務めた際、「私はいま20代ですが、どのようなことをやっておくべきですか」というご質問がありました。

私は「異質なものに触れ、多様な経験を積み、観点を増やすこと」という趣旨の回答をしました。

具体的には、海外留学が非常に濃い経験になりやすいと思います。

 

そもそもなぜ「異質なものに触れ、多様な経験を積み、観点を増やすこと」が重要なのでしょうか。

それは日本が島国だからです。

「濃密な海外留学は、人生にかけがえのない経験をもたらす」と筆者は語る=筆者提供
「濃密な海外留学は、人生にかけがえのない経験をもたらす」と筆者は語る=筆者提供

島国であるがゆえに、良くも悪くも外界から遮断されやすく、他国に比べて同質性の高い人々が生活しています。

こうした特徴は同時に、異質なものへの拒否感、他の人々と同じであることへの安心感、暗黙のタブーなども醸成しやすいでしょう。

 

日本という国は非常に希少な国だと私は感じています。

独立国として国名が変わらず、統治する民族も実質的に変わらない歴史を持つ日本のような国は多くありません。

私たちは自分の国に自虐的にならずに、もっと誇りを持ってよいと思います。

つまり、私たちは特殊で恵まれた歴史を持つ国に生きているということをまず認識しておきたいところです。

情報過多の時代、自分なりの判断軸を持とう

戦略を立てる時、まずは客観的に状況を把握することから始めるべきです。

自分がどういう時代に生き、どういう国で生活しているのか。

これらを客観的に認識することは、人生を展望するための第一歩とさえ言えるかもしれません。

 

私たちがどういう時代に生きているのかは、本コラムで述べてきた通りです。

私たちがどういう国で生活しているかを知るには、留学で他の国を深く知るのが一案です。

なぜなら、自分の国を客観的に見るためには比較する対象が必要だからです。

他国を知り他国と比較することで初めて、自分の国を客観的に見ることができるようになると思います。

海外の大学で学ぶ日本人が、留学志望の高校生たちに留学の魅力や情報を伝えるイベント=2019年1月、長野県軽井沢町、朝日新聞社
海外の大学で学ぶ日本人が、留学志望の高校生たちに留学の魅力や情報を伝えるイベント=2019年1月、長野県軽井沢町、朝日新聞社

外国に行くと、様々な体験をする機会がそこらじゅうに転がっています。

例えば欧州で日本人が歩いていると、向こうから自転車に乗ってきた人が “Hey, Jap!” と言い、そのまま走り去ることもあります。

日本にいると考えもしないことかもしれませんが、人種差別はやはり厳然と根強くあるのです。

きれいごとだけで現実は語れないのです。

 

外国では、同じ国の中で民族的な迫害を受けている人もいます。

民族的不遇から祖国を捨てて隣国へ移った人もいます。

いずれも留学で友となった人々です。

「他国を知ることで日本の良さを改めて感じることができる」と筆者は言う=筆者提供
「他国を知ることで日本の良さを改めて感じることができる」と筆者は言う=筆者提供

世界には本当にいろいろな人がいて、いろんなことが起きています。

日本でメディアを通して知る内容ひとつ取っても、平和というか、一面的なこともあります。

他国の100都市のうち1都市でしか起きていないことを、全土的なできごとのように錯覚させるものも、中にはあったでしょう。

 

現代は情報にあふれています。

情報を取捨選択し、判断する能力がより重要になっています。

そのために観点は多いほど役に立ちますし、他国の実情を深く知っているほど、自分なりの判断軸も持ちやすいでしょう。

希少な人材になることで収入増の可能性も

海外留学をFIREと関連づけるならば、密度の濃い留学をすることで結果的に就職活動や収入面でポジティブな影響があるでしょう。

人材の市場価値というのは、希少性が大きな要素になるからです。

 

その人にしかできないこと、語れないことがあれば、すなわち付加価値が生じる理由になります。

それは結果的に、金銭という対価を得ることにもつながります。

現地に溶け込み、異国の文化・人々・言語・風俗・歴史などに触れ、それらすべてを貪欲に吸収する覚悟を持って留学をすれば、人材としての希少性は高まるでしょう。

コロナ禍で留学がかなわないため、同じ教室に集まってそれぞれオンライン留学する学生たち=2021年7月、千葉市の神田外語大、朝日新聞社
コロナ禍で留学がかなわないため、同じ教室に集まってそれぞれオンライン留学する学生たち=2021年7月、千葉市の神田外語大、朝日新聞社

金銭面だけではありません。

海外留学というのは人生観そのものを変える可能性すら秘めています。

 

冒頭で若者向けと書きましたが、留学は若者の特権ではありません。

お笑い芸人の光浦靖子さんは最近、50歳で海外留学されています。

新型コロナウイルスの感染拡大で渡航を延期し、現在は学生ビザ保有者の受け入れ再開により、カナダへ留学されています。

著書によれば、芸能界での仕事が減少し、業界内の物差ししか持たないため「仕事がない=価値がない」としか思えなくなってしまい、不安と葛藤を抱えていたことが背景にあるようです。

 

日本で仕事をしていると、多かれ少なかれストレスを抱え、時に全てを投げ出して誰も知らない世界に行きたくなる――。

そんな人もいらっしゃるかもしれません。

あるいは、単純に海外に興味があったり、何かしらの行き詰まりや閉塞感を感じていたり、変化を求めていたり。

そんな人にも留学は選択肢になると思います。

 

環境を変え、今までと全く異なる世界に身を置けば、「今までの世界は何だったのか」「もっと自由に生きていいんだ」「こんなタブーなんてなかったんだ」「他人の目や評価ばかり気にせず生きていいんだ」と思えるきっかけにもなるはずです。

「多様な国の人々と深い交流をすることで、世界観が広がり、幅広い視点が備わりやすい」と筆者は考える=筆者提供
「多様な国の人々と深い交流をすることで、世界観が広がり、幅広い視点が備わりやすい」と筆者は考える=筆者提供

人間いつ死ぬかわかりません。

2歳児にも、還暦の人にも、死が明日突然訪れる可能性は等しくあるでしょう。

何かを始めるのに遅いということはあり得ないと思います。

 

私も種々の状況が許せば、2度目の海外留学をしたいとさえ思います。

それぐらい密度の濃い経験をし、その後の人生に計り知れないポジティブな影響をもたらしたと確信しています。

会社員でも留学は可能。常識を脱ぎ捨てよう

留学の際は、ホームステイや、外国人が混在する寮で生活することをおすすめします。

日本人と日本語で話すことは、日本でもできます。

現地でしかできないことを、ぜひやってみてください。

「寮の外国人ルームメイトは、一生の友達」と筆者は言う=筆者提供
「寮の外国人ルームメイトは、一生の友達」と筆者は言う=筆者提供

深い話ができる外国の友達をたくさん作ってみてください。

各国の事情や抱える問題、歴史観が見えてくると思います。

 

現地の人と現地のものを食べてみてください。

その土地の文化や信仰などが見えてくると思います。

 

自分からどんどん話しかけてみてください。

知らなかった人や世界に出会えると思います。

 

日本の都会で知らない人に話しかけると、時に変な人だと思われるかもしれません。

海外ではむしろ、そのまま仲良くなって友達になりやすいと思います。

「知らない人に外国語で突然話しかけて仲良くなるって、こんなに自然で楽しいことなのか」と思ったものです。

 

1つの国の常識は、その国でしか通用しないこともあります。

会社もまた同様でしょう。

今まで常識だと思っていたことを1つずつ脱ぎ捨てるきっかけにもなると思います。

「〇〇はこうあるべき」という、無意識に染みついた固定観念からも解き放たれるはずです。

2021年8月3日付朝日新聞朝刊によると、ワクチン接種が進んだことで、各大学で学生の留学を再開する動きが出ている
2021年8月3日付朝日新聞朝刊によると、ワクチン接種が進んだことで、各大学で学生の留学を再開する動きが出ている

留学というと長期のイメージがあるかもしれません。

ですが、会社員であっても半年に1度の休みを利用して、語学がめきめき上達した人を知っています。

やる気と気概さえあれば、会社員だからと言って諦める必要はないと思います。

 

海外留学は、人生を豊かにする要素がたくさん詰まっています。

「自分と周囲の人生を豊かにする手段」という意味で、FIREと相通じるものがあります。

そして、濃密な留学は人材としての希少性を高める要素にもなり得るのです。

 

世界は知らないことや面白いことに満ちています。

ぜひ殻を破って、外に飛び出してみると、新たな自分にきっと出会えるはずです。

 

(このコラムは月1回掲載予定です)

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