「眞子さんの結婚に賛成」と考えるZ世代女性の理由は? 既成概念より大切なのは「多様性」

「眞子さんの結婚に賛成」と考えるZ世代女性の理由は? 既成概念より大切なのは「多様性」

キャリア

若い世代の「価値観」は新たな環境の変化でどんどん進化を繰り返すといわれます。「おひとりさま」や「草食系男子」「年の差婚」などの言葉を世に広めたマーケティングライターの牛窪恵さんが、「ゆとり世代(さとり世代)」、「Z世代」の考え方、ものの見方について読み解きます。

マーケティングライターで、世代・トレンド評論家の牛窪恵(うしくぼめぐみ)です。

前回のコラム「なぜZ世代は『副業』や『起業』、『早期退職』に憧れる?」でもたくさんの反響をいただき、ありがとうございました。

今回と次回は、連載開始前からご要望が高かったテーマの1つ、「Z世代の恋愛・結婚観」について、これまでのインタビューをもとに、2回にわたってご紹介しましょう。

 

眞子さん結婚 Z世代女性は「『好きを貫ける』はうらやましい」

結婚について記者会見をする小室圭さんと眞子さん=10月26日、東京都内のホテル、代表撮影、朝日新聞社
結婚について記者会見をする小室圭さんと眞子さん=10月26日、東京都内のホテル、代表撮影、朝日新聞社

2021年10月26日、秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さんと小室圭さんは、都内のホテルにて、2人で結婚を報告する記者会見(以下、結婚会見)に臨みました。

みなさんは、どんな気持ちで会見の様子をご覧になりましたか?

振り返ると、眞子さんと圭さんが、笑顔を見せながら初めてツーショット会見(婚約内定会見)を開いたのは、結婚会見より4年前の2017年9月。

当時は日本全国に祝賀ムードが漂いましたが、アッという間に様相は一変します。

 

直後に発覚した、圭さんの母親・佳代さんと元婚約者との金銭トラブル。2018年2月には「準備不足」を理由に、圭さんと眞子さんの結婚延期が発表されました。

この年の8月には、アメリカ・ニューヨーク州で弁護士資格取得を目指す圭さんが、単身渡米することに。

その間も、さまざまな憶測や噂、疑念が飛び交い、国民からは、「結婚会見で、ぜひお二人の口から疑念を晴らして欲しい」との声もあがりました。

 

ですが、私が先日取材したZ世代(私の定義で現17~26歳)の女性たちのなかには、ちょっと違った見方をする人もいました。

「あんなに『好き』を貫ける相手に出会えるなんて、眞子さんが羨ましい」

こんな声をあげた女性が、20人中7人もいたのです。

 

光文社が発行する『女性自身』が2021年9月に実施した調査でも、Z世代より上の世代も含めた調査対象全体の約7割(69.8%)が、眞子さんと圭さんの結婚に「反対」「どちらかというと反対」と答え、「賛成派」が約3割にとどまったのに対し、Z世代を中心とした現20代女性に限ると、「賛成」「どちらかというと賛成」が約6割(57.1%)と、賛否が逆転していました(【表1】)。

もちろん眞子さんの場合、皇室という特殊な立場に生まれたゆえの悩みが数多くあったでしょう。

一概に同じ目線では語れませんが、それでもZ世代にとっては、自分の「お姉さん世代」にあたる眞子さんが、どんなに親や周りに反対されても、3年間も離れ離れになっても、「圭さんと結婚したい」とこだわり続けたことが、良い意味で刺激的だったようです。

「自分には無理なことを、眞子さんはやってのけた」と考える女性も、少なからずいるようです。

 

彼女たちは言います。

「私なら絶対に、親に反対された時点で『なら大変そうだし、やめておこう』となる」

「恋愛を貫いて結婚って素敵だけど、そもそも恋愛は3年程度しか続かないって分かっているから、つい(結婚には)打算が働く。ピュアな恋愛は、たぶん一生ムリ」

 

恋愛は面倒? 恋人を「ほしがらない」若者たち

2015年9月、私は「クロス・マーケティンググループ」と一緒に、当時の20代男女600人に大規模調査(一部にはインタビュー調査も併用)を行ない、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)という本を書きました。

当時、調査・取材したのが、おもにZ世代の一つ上の、ゆとり世代。眞子さんと同世代の若者たちです。

当時は、「なぜ、恋愛意欲が低い若者が増えたのか?」と驚かれ始めた時代でした。

きっかけになったデータの一つが、内閣府が2015年に発表した「少子化社会対策白書」。ここで、20代未婚で恋人がいない男女の約4割が「恋人は欲しくない」と回答。そのうち、男女とも45%前後は「恋愛が面倒」だと答えていたのです。

 

民間の調査でも、このころから「恋人なし」の男女が目立ち始めました。

2014年のリクルートマーケティングパートナーズの調査では、当時、20代女性の60%、20代男性の76%が「交際相手がいない」と回答。これらを見た私たち上の世代が、軒並み「若いのに、なぜ恋愛が楽しくないんだ?」や、「これじゃ、少子化に歯止めがかからない」と騒ぐようになりました。

 

私自身、「恋愛トレンディドラマ」の最盛期に青春を過ごした、バブル世代(現50代)。いまや、若い世代から「イタイ(痛々しい)」とみられることも多い世代ですが、私たちが当時、恋愛にクールな若者を「なぜ?」と理解できなかった要因とみられるデータが、いくつか存在します。

たとえば、国立社会保障・人口問題研究所の経年調査。

35~40年前の数値を見ると、バブル予兆期、最盛期(1982年、1987年)の「交際相手なし」(18~34歳未婚)は、女性の35%、男性の43%しかいませんでした。

つまり、バブル期には6~7割の男女に「彼氏・彼女がいた(と思われる)」わけで、まさに2015年時点の若者たちと、状況が「逆」だったわけです。

ちなみに、先のリクルートマーケティングパートナーズによる最近の調査(2019年【表2】)によれば、20代女性の53%、20代男性の68%が「交際相手がいない」と回答。

2014年よりそれぞれ1割ほど「恋人がいる」が増えた半面、20代男性の約4割が「異性と付き合ったことが(一度も)ない」と答えたことも、話題を呼びました。

 

「恋愛対象は異性」の既成概念にモヤモヤ感

2015年、おもにゆとり世代の若者の間で「恋愛意欲が減退した」と考えられる理由を、私は調査・取材のほか識者インタビューなどを通じて分析し、先の拙著に5項目列挙しました。

ごく簡単に要約すると、以下の通りです。

1.「超情報化社会」がもたらした功罪
  =スマホやSNSの普及で、いつでもどこでも「エッチな動画」鑑賞や「恋人監視」が可能に
2.「男女平等社会」と「男女不平等恋愛」のジレンマ
  =社会的には「男女平等」と言いながら、こと恋愛となると男らしさ、女らしさを強要される
3. 超親ラブ社会と恋愛意欲の封じ込め
  =親が子離れしにくい社会構造や、将来に向けて家族回帰を促す政府・社会の施策
4. 恋愛リスクの露呈とリスク回避
  =でき婚、セクハラ、ストーカー、デートDV、リベンジポルノなど、相次ぐ恋愛リスク
5.   バブル崩壊と長引く不況が招いた「恋愛格差社会」
  =「恋愛できる身分じゃない」と恋愛から降りる、低年収や非正規の若者たちの深層心理

 

そして、同著出版から6年後の2021年、当時の20代より1世代下のZ世代に取材すると、とくに上記の1と2、すなわち「超情報化社会」と「男女不平等恋愛のジレンマ」の部分が、この6年間でよりいっそう進化したと感じました。

まず後者(「男女不平等恋愛」)については、いわゆる「#MeToo運動(SNSを通じて性的被害などを告白する動き)」や、性的マイノリティを表す総称の「LGBT(Q)」など、社会から性別による格差や偏見をなくそう、との動きが広がったこと。

その一方で、「なぜ恋愛では、いまだに『異性が対象なのが(社会の)当たり前』なのか」「多様な恋愛のカタチがあってもいいはずだ」とのモヤモヤした感情が、若い世代の間で増幅した印象があります。

象徴的なのは、アメリカ。2020年、世界的な調査会社「ギャラップ」による大規模調査(【表3】)で、驚きの結果が発表されました。

アメリカの「Z世代(同調査は、現19~24歳と定義)」の約6人に1人に当たる16%が、「自分はLGBTだと思う」と回答。この割合は、1つ上の「ミレニアル世代(現25~40歳)」より1.7倍、さらに上の「X世代(現41~56歳)」に比べて4倍以上も高かったのです。

 

翌2021年、アリゾナクリスチャン大学などによる世論調査でも、似た結果が出ました。Z世代の、実に39%が「自分は『LGBTQ』だ」と自認。

やはり上のX世代より約4倍も、その割合が高く出たとのこと(『ニューズウィーク日本版』 2021年10月26日掲載記事より)。

こうした「LGBT(Q)自認派」の伸びは、近年、アメリカのZ世代の間で「そう答えておくのが無難」や「クールな(イケてる)考え方」との認識が広がったせいとも言われる一方で、「そもそも恋愛や男女性の既成概念に、疑問を感じる若者が増えた象徴」ともされています。

 

若い世代は「多様な恋愛のあり方」に寛容

実は日本でも、若い世代ほど「同性愛」を許容する割合が高いことが明らかです。

たとえば、世界数十か国の大学・研究機関の研究グループが参加して行なう「世界価値観調査」(【表4】)。

 

2010年も2019年も、同性愛への許容割合が高いのは若年層(29歳以下)で、とくに伸びが顕著なのは「女性」。9年前より、許容派が約1.4ポイント増え、同世代男性との差が1.6ポイントも開きました。

つまり、日本ではZ世代を含む29歳までの間で、男性より女性のほうが、目立って同性愛に寛容で、バラエティに富んだ恋愛に理解を示す傾向が強い、と言えるでしょう。

本来、「恋愛」というカテゴリーには、異性同士の1対1の恋愛だけでなく、同性愛やセフレ(セックスフレンド)、ソフレ(添い寝フレンド)、あるいは「ポリアモリー(関係者の合意を得たうえで、複数の人と恋愛関係を結ぶこと)」など、多様な恋愛のカタチが含まれるはず。

ですが、少なくとも日本の社会では、まだ相変わらず「恋愛=異性同士が、1対1でするもの」との概念が根強い。

取材したZ世代の女性(24歳)は、「結局は、少子化に歯止めをかけたいから、若い人に異性と1対1で恋愛して結婚してもらわないと、っていう『大人の事情』ですよね」と言い放ちました。

「男女平等」や「LGBTQの容認」を声高に叫ぶ一方で、こと恋愛や結婚となると、旧態依然とした考え方を固持し続ける大人たちが「ダブルスタンダード」に映るのでしょう。

 

情報化で「バージョンアップ」が進む恋愛観

そして近年、目立って進化したと考えられるもう一つの項目が、先にあげた「1」、すなわち「超情報化社会」による、「バーチャル恋愛(疑似恋愛)」の進化。

恋愛に限りなく近い、あるいは人間同士の恋愛感情をはるかに上回るとも考えられる、新たな恋愛のカタチが日々バージョンアップされているのは、ご存知の通りです。

「エンタメ社会学者」の肩書を持ち、早稲田大学ビジネススクールやシンガポール南洋理工大学でも教鞭を取る、中山淳雄さんは、進化する疑似恋愛の感情について、「推し」というキーワードから興味深く分析してくれました。

中山さんいわく、1つの転換期は、「萌え」から「推し」の時代へと移り変わった2005年以降。一体このころ、何が起こっていたのか。そして「推し」の感情によって、Z世代の恋愛はどこへ向かっていくのでしょうか……。

 

この続きは、次回詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに!