事例から考えるウィズコロナ / アフターコロナ時代のアイデアの切り口 #7

事例から考えるウィズコロナ / アフターコロナ時代のアイデアの切り口 #7

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車で楽しむ音楽フェス「ドライブインフェス」など、コロナ禍でも数々の心躍る企画を仕掛けている体験クリエイター・アフロマンスさんが、様々な分野にも応用できる“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

事例からアイデアの切り口を考えよう

日頃、SNSやニュースを見ていると「面白いな〜」と思う事例があると思います。しかし、「なんで面白いのか?」というところまで考えて見ているでしょうか?

アイデアを考える上で、いわゆる「引き出し」を増やしておくのはいいことです。ただ、事例だけをストックしてもあまり意味はありません。大事なことは、事例からアイデアの切り口を導き出すことです。 

事例は単体の話ですが、切り口は汎用性があります。また、自分と縁遠い業界の事例も、事例自体は参考にならなくても、そこから導き出される切り口は応用できます。むしろ、異なる業界から学んだ切り口の方が、自分の業界内では新しい発想のヒントになることが多いです。

「ワクワクをつくる企画術」第7回目は、最近のユニークな事例から「ウィズコロナ/アフターコロナ時代のアイデアの切り口」として、3つほど紹介したいと思います。

制約をポジティブに変換する

これはどういう意味か?
具体例を先に紹介しましょう。

Thermo Selfie(サーモセルフィー)

名前からして秀逸ですが、色んな施設やイベント会場の入り口に設けられているカメラ付きの検温装置をハックし、検温が記念撮影になり、カードとして出てくる、テックエンターテインメントレーベル「HYTEK」の企画です。

例えば、フェスの会場に設置し、検温をした顔写真が出力されてスタッフパスになったり、ノベルティとしてプレゼントして思い出の品になったり、ということが想定できます。

いろんな面で素晴らしい企画なんですが、一点、切り口を抽出するなら、コロナ対策のためにやらなくてはいけない検温(制約)をノベルティや思い出(ポジティブ)に変換している、という点です。

 

ぬいぐるみディスタンス

また、同じ「制約をポジティブに変換する」という意味で、今年3月に開催された鹿児島市のPRイベント「マグマやきいも電車」もご紹介します。電車内では、参加者同士がソーシャルディスタンスを保つために一席開けて座るのですが、空いた席に市のPRキャラクターのマグニョンのぬいぐるみを座らせることで、空けないといけない席(制約)を、マグニョンと一緒に電車で巡るという体験(ポジティブ)に変換し、好評を得ていました。

まだ完全な終焉(しゅうえん)が見えないコロナ禍において色んな場面で使える切り口ですし、新型コロナ以外でも、「制約」を見つけた際に「ポジティブに変換できないか」を考えてみるのもいいと思います。

使っていないものを意外な使い道に変換する

新型コロナの影響もあり、様々なものの需要と供給が日々大きく変動しています。また、まったく新しいものをつくるより、今あるものをうまく使えることが素晴らしい、そんな時代の感覚もあると思います。そんな中で、「今は使えないもの」や「使わなくなったもの」を意外な使い道に変換するという切り口があります。

はとバス迷路

以前の記事でも紹介しましたが、とても素晴らしい企画なので、改めて紹介させてください。

新型コロナの感染拡大によって稼働の減った観光バスを活用し、巨大な迷路をつくったという企画です。元はバスの換気性能を体験してもらうイベントなのですが、それだけのために来てもらうのは芸がないと思い、企画されたとのこと。この迷路がメディアやSNSで大きな話題になり、いいPRにつながったと思います。

 

ATM居抜き食パン専門店

また、意外な使い道でもう1件。

食パン専門店「髙匠」(たかしょう)が、なんとATMの跡地を利用して店を出し、大好評という話です。オープン前のSNSの投稿が8万いいねを超えるバズを生み、様々なメディアで取り上げられています。

考えてみれば、ATMは駅前などのいい立地にあります。また、店の面積が狭いことは普通ネガティブに感じますが、テイクアウトをメインに考えればそこまで面積が必要でなかったり、商品の品質がよければ、行列もできて、話題になるという効果もあります。

ロケーションを特別な体験に変換する

これまで絶景をはじめとするロケーションの多くは、「旅行で行って記念撮影をする」ことが主な体験でした。そんな中で、最近は密を避けた形での「ロケーション×特別な体験」の企画が増えています。

MOVING INN

トレーラーハウスの宿を使い、北海道の絶景を独り占めできる「MOVING INN」。1日1組限定、周りに誰もいない中で、ゆっくりとした時間を過ごすことができます。

また、過酷とも無縁で、薪で沸かすバスタブ、サウナ、焚き火、エアコンやシャワーもついたトレーターハウスなどが完備されています。実際に体験しましたが、とても満足度の高い体験で、一般的な宿と比べて安価ではないですが、ぜひまた利用したいと思っています。

また、近しいサービスで、人里離れた場所でキャンピングカーやトレーラーハウスで過ごすことができる「Getaway」というアメリカのスタートアップも大型の資金調達をして話題となっています。

HIGH IN JAPAN

世界の絶景でDJする音楽配信プロジェクト「Cercle」をご存知の方も多いと思いますが、コロナ禍で国内でも絶景地からの音楽配信が広がっています。

代表的なもので、日本の観光地・絶景でのDJプレイを配信するプロジェクト「HIGH IN JAPAN」があります。まさに通常訪れるだけであった日本の観光地が、音楽体験を掛け合わせることで、新しい体験に変換されています。

「ロケーションの特別な体験への変換」は、宿や音楽以外にも、様々な体験の可能性があると思います。ロケーション側でも、コンテンツ側でも、想像を膨らませてみましょう。冒頭言ったように、業界のイメージが離れているほど、斬新で新しい企画が生まれる可能性があります。

どんな切り口を見つけるかはあなた次第

「事例から考えるウィズコロナ / アフターコロナ時代のアイデアの切り口」はいかがだったでしょうか?

イマジネーションは湧きましたか?

もしかしたら途中で気づいたかもしれませんが……

最初の事例の「Thermo Selfie」は「制約をポジティブに変換する」以外にも「デジタル完結ではなく、カードという手触り感」も非常に重要なポイントです。

また、「はとバス迷路」は「使っていないものを意外な使い道に変換する」だけでなく、「制約をポジティブに変換する」側面もあります。

つまり、事例と切り口は1:1という訳ではなく、いろんな角度の視点があるのです。

事例を見て、どこが面白いと思うのかは人次第なように、どんな事例にどんな切り口を見つけ出すかも人によって違います。ぜひあなたなりの「ワクワクする事例」から「アイデアの切り口」を考えてみてください。

本コラムでは「ワクワクをつくる企画術」というタイトルで、アイデアの発想から企画のブラッシュアップ、そして、実現をテーマに連載しています。

今回は、12回連載のちょうど折り返しということで、ゆるめのテーマで、事例多めでいってみましたが、いかがだったでしょうか?

コラムの感想や、こんなことが聞きたいなどあれば、記事下のコメント欄か、Twitterで「#ワクワクをつくる企画術」で投稿してもらえれば見ますので、よろしくお願いします。 

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