「デジタル庁」発足! 私たちの暮らしのデジタル化を支える人たちにお願いしたいこと

「デジタル庁」発足! 私たちの暮らしのデジタル化を支える人たちにお願いしたいこと

ライフ・マネー

お金の専門家 / 経済評論家の横川楓さんが、日々のニュースを切り口に、身近な暮らしにつながる経済の話や、知らないと損するお金にまつわる知識を解説します。7回目のテーマは、「発足したばかりの『デジタル庁』に期待すること」についてです。

9月1日、デジタル庁が発足したというニュースが大きな話題となりました。

デジタル庁のオフィスの看板=8月31日、東京都千代田区、朝日新聞社
デジタル庁のオフィスの看板=8月31日、東京都千代田区、朝日新聞社

行政のデジタル化の司令塔を担うデジタル庁が1日発足した。コロナ禍のなかオンライン手続きの普及が課題で、「すべての行政手続きがスマートフォンで60秒以内にできる」ことをめざす。マイナンバー制度の活用や、バラバラだった自治体システムの標準化も進める。

(2021年9月1日朝日新聞夕刊)

 

 デジタル庁って何をするところ?

デジタル庁は、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」というミッションを掲げて発足した新しい省庁です。一人ひとりが多様な幸せを実現していけるデジタル社会を目指し、世界に誇れる日本の未来をつくりあげていく施策に取り組もうとしています。

 

「徹底的な国民目線」を追求して必要とされる新たなサービスを生みだし、暮らしに有益なデータ資源の利活用も促しながら社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による暮らしやビジネスの変革)を推進していく。その結果、デジタル化が進んだ恩恵がすべての国民に行き渡る社会を実現させていく、と設置の趣旨を説明しています。

スマホを使った行政手続きの電子申請の画面=7月16日、石川県加賀市、朝日新聞社
スマホを使った行政手続きの電子申請の画面=7月16日、石川県加賀市、朝日新聞社

引っ越したときの住民票の提出やパスポートの申請など、手続きのためには役所に出向くことが必要だったり、紙の書類が必須だったりと、まだまだ日本はデジタル化が進んでいるとはいえません。「すべての行政手続きがスマートフォンで60秒以内にできる」ようになれば、とても嬉しいですよね。

 

私たちの生活にどう影響?

デジタル庁が主な政策としてホームページ上に記載しているのが、ID・認証サービスの普及や、サイバーセキュリティの強化、国民向けサービスの利便性の向上などです。

「商品券2500円分がもらえる」とマイナンバーカードの取得を呼びかけるチラシ=6月10日、三重県玉城町役場、朝日新聞社
「商品券2500円分がもらえる」とマイナンバーカードの取得を呼びかけるチラシ=6月10日、三重県玉城町役場、朝日新聞社

たとえば、マイナンバーカードを使う場面として、マイナポータルというオンライン窓口があります。今は基本的には子育てや介護などに関するオンライン申請がメインですが、昨年、政府の新型コロナウイルス対策の一環として全国民に現金10万円が給付された際も、マイナポータルから申請することができました。

 

私たち働く現役世代にとっては、役所が空いている時間には申請に行けないことも多いはずです。必要な申請が必要なタイミングでできないもどかしさを感じることも少なくはありません。

子育てや介護に関することだけではなく、社会保険や税金、その他の書類の申請など、役所に何か提出する必要がある手続きが、もっとインターネット上で行えるようになるのは、ありがたいですよね。

 

今後のデジタル庁に期待したいことは?

まず個人的に気になったのは、組織情報をみたときの圧倒的な男性の多さです。もちろんここに載っていない場所で仕事をされている女性もいるかとは思いますが、「男女平等」という意味でも、今後はもう少し女性の幹部が増えることを願っています。

 

昨年の現金10万円給付のときには、電子申請をした方に早く振込がされたという自治体もあれば、電子申請でトラブルが起きた自治体もありました。

また、確定申告も青色申告の場合、電子申請をした方が控除が増える制度に切りかわっています。ですが、こうした変更があったことすら知らないまま紙で申告している人もいます。

マイナンバーカードがあると、電子申請ができる手続きも増えましたが、多くの人が直接、便利だと感じるような使い道がまだまだ多いわけではありません。

新型コロナウイルス感染者と接触したことを通知するスマートフォンのアプリ「COCOA(ココア)」=2月3日、東京都中央区、朝日新聞社
新型コロナウイルス感染者と接触したことを通知するスマートフォンのアプリ「COCOA(ココア)」=2月3日、東京都中央区、朝日新聞社

ほかにも、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)も不具合が多く、話題になっていましたよね。

スマホの普及で、いつでもどこでもすぐに何かをできるメリットは多くの人が期待しています。その上、コロナ禍がずっと続いている状況の下で、対面でなくても手続きを完結できる仕組みづくりが必要なことが、より浮き彫りになってきました。

 

国や自治体の申請というのは、ただでさえ言葉も申請様式も難しく、理解が追い付かずに本来なすべき申請をあきらめてしまう人もいる、というのが現実にあると思います。

スマホで確定申告ができるようになったときもそうでした。結局、いくらデジタル化が進んで簡単にできる手続きが増えたとしても、その知識を得て活用するハードルが高ければ、利用するところまではたどりつけません。

 

デジタル庁の発足を機に、情報漏洩のリスク管理や、デジタルを追いきれない人へのサポートなどの徹底も期待しつつ、ふつうの人にとってのわかりやすさ、アクセスのしやすさも期待したいところです。

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