雇用保険料、引き上げられる? 給与明細で気づく前に仕組みを知ろう!

雇用保険料、引き上げられる? 給与明細で気づく前に仕組みを知ろう!

ライフ・マネー

お金の専門家 / 経済評論家の横川楓さんが、日々のニュースを切り口に、身近な暮らしにつながる経済の話や、知らないと損するお金にまつわる知識を解説します。6回目のテーマは、「雇用保険」についてです。

新型コロナ禍で支給された「雇用調整助成金」。その財源は...

みなさんの中にも、もしかしたら新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業で、勤務先から休業手当を支給されたという人もいるかもしれません。

従業員の生活を守るために雇用者は休業手当を支給することになりますが、一方で店舗を営業できないなど勤務先自体の売上がない中、従業員に休業手当を支給するのは雇う側としても苦しいもの。

そういった中でもきちんと休業手当が支給されるように、政府が出している助成金が「雇用調整助成金」でした。

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雇用調整助成金、4兆円超 支給決定額、縮小方針は転換 財源見通し示せず:朝日新聞デジタルより

新型コロナ禍から雇用を守るための特例措置として国が拡充してきた「雇用調整助成金」(雇調金)の支給決定額が、1年半足らずで4兆円を突破した。失業を抑える一定の役割を果たしてきた一方、次期衆院選への思惑も絡み、今後の財源不足にどう備えるのかの見通しを示せていない。  

 

雇用調整助成金、4兆円超 支給決定額、縮小方針は転換 財源見通し示せず:朝日新聞デジタル

 

度重なる緊急事態宣言やまん延防止措置などの影響で、雇用を守るために雇用調整助成金の需要はどんどん増え、2021年7月末時点のデータでも右肩あがりの数値となっています。

そして、雇用調整助成金の財源の多くを占めるのが、雇用保険の財政です。

そもそも雇用保険にはどんな役割がある?

雇用保険には、大きく2つの事業があります。

それが、①失業者向け事業と、②休業・転職者などを含め労働者の雇用を安定させたり、スキル開発をしたりするための事業です。

本来であれば②の事業の財源からまかなうところ、2020年度予算ベースのこちらの図をみてもわかるとおり、①の財源からも貸し出しをしてまかなっている状況となっています。

<a href="https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20210223002405.html">失業手当の財源、ほぼ枯渇 コロナで支出膨張、負担増も:朝日新聞デジタル</a>より
失業手当の財源、ほぼ枯渇 コロナで支出膨張、負担増も:朝日新聞デジタルより

雇用調整助成金が今後も増え続けるのであれば、さらなる補填(ほてん)をしなければなりません。

そこで厚生労働省が検討していると話題になったのが、雇用保険料の引き上げです。

 

多くの働き手の給与から天引きされる雇用保険料の引き上げが2022年度、避けられない状況だ。新型コロナ禍で支出が膨らみ、財源が底をつく寸前だからだ。ルール通りなら労働者は2倍、会社は約1.6倍の負担増だが、引き上げに反対し、税金の投入を求める声も強まっている。

 

雇用保険料、引き上げ不可避 コロナ禍で財源枯渇、来年度の方針焦点:朝日新聞デジタル

 

ここで、そもそも雇用保険には具体的にどういう役割があるのかをお話していきます。

先ほど雇用保険には、①失業者向け事業と、②休業・転職者などを含め労働者の雇用を安定させたり、スキル開発をしたりするための事業の2つがあるとお話しました。

①は、会社をやめたときにもらえる失業手当や再就職手当、再就職のためのスキル取得のための教育訓練給付金などを指しており、育児休業給付金もこの①の失業者向け事業のうちの1つとなっています。

収入がなくなってしまったときや、出産育児などで働けなくなってしまったときにとても重要な役割をしているのです。

次に②は、主に私たちに直接給付されるものはなく、今回のコロナ禍での雇用調整助成金やキャリアアップ助成金、トライアル助成金など、従業員の雇用の安定やスキルアップ、転職者の受け入れをするためのお金を使うことができるように会社側を支援する制度となっています。

会社に助成金がでることで、結果的に私たちの雇用が守られているんです。

現在は低水準の雇用保険料率。制度と受けられる恩恵をきちんと知ろう

さて、そんな雇用保険ですが、現在毎月天引きされる保険料の計算のもとになる保険料率は、①が0.6%で労働者と会社が半分ずつ、②が0.3%で会社だけが負担することとなっています。

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雇用保険料、引き上げ不可避 コロナ禍で財源枯渇、来年度の方針焦点:朝日新聞デジタルより

今の雇用保険料率の水準は過去と比べてもとても低水準。突然、健康保険や厚生年金ほどの負担になるということはありませんが、少しでも雇用保険料率が引きあがるとなると、その分手取りの金額が減ってしまうことになります。

会社勤めであれば、給与明細を見ると基本的には毎月のお給料から雇用保険料も天引きされているのがわかるはず。毎月のお給料から自動的に引かれていますが、健康保険や厚生年金に比べて引かれている金額も少ないので、もしかしたら見逃していたという人もいるかもしれませんね。

ですが、今お話してきたように、失業をしたときの収入の補填や、再就職の際の支援、今回のコロナ禍で休業手当をもらうことになったときなど、雇用保険に入って保険料を納めているからこそ受けられる恩恵もあります。

必要な時に制度を利用できるように、あらかじめどういう仕組みかしっかり知っておきましょう。

 

(このコラムは月1回掲載予定です)

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