三菱系の大手企業に勤めながら徹底した倹約と資産運用を続け、30歳でFIRE(Financial Independence, Retire Early=経済的自立と早期退職)を実現した穂高唯希さん。FIREという生き方の魅力やFIREがいま注目される理由、FIREと従来の早期退職の違い、FIREの目指し方などについて、実体験を元にお伝えします。
画一的な面のある日本社会に一石を投じたい
こんにちは、穂高唯希(ほたか ゆいき)です。
昨今、FIREという言葉がメディア各所で話題に上るようになりました。
それに伴い、達成者として私も取り上げられることが増えました。
私は2019年に30歳でFIREを達成し、時間的・精神的・地理的な自由を得て、以降好きなことを追求する生活を送っています。
世の中にはいろんな人がいて、いろんな人生観があって、いろんな価値観があって、いろんな生き方があります。
私はブログや本を書いてきました。
自分の生き方や考え方などが、やや画一的な面も見られる日本社会に対して一石を投じることになれば、とも思ったからです。
このコラムでもFIREを通して何かを伝えることができたらと思っています。
bizbleは20~30代の若い世代が主な読者層と聞いています。
FIREへの注目の高まりの背景には、そんな若い世代の価値観が従来と変容してきていることがあります。
日本の次代を担うみなさんにFIREという概念を紹介するとともに、みなさんの理想とする人生や社会のあり方などについて考えるきっかけとなれば幸いです。
お金にはお金のルールがある
自己紹介をしておきます。
私は14歳から為替を研究し、大学での海外留学を経て、株式投資を始め、サラリーマン生活を経て30歳でFIRE。
幼い頃からお金に興味がありました。
お金があれば人生の選択肢が増えるんだなぁと子供ながらに思ったものです。
こんなことを考えたことはありませんか。
学生の頃は、時間と体力はあるがお金はない。
社会人になると、お金と体力はあるが時間はない。
老後を迎えると、お金と時間はあるが体力がない。
これって定説ですよね。
定説とはある事柄に対して、正しいと広く認められている説です。
私は定説や常識はまず疑ってかかるべきだと思います。
なぜなら、定説や常識というものは、一個人には全く当てはまらないことが多いですし、自分の可能性を限定してしまうからです。
若い頃に時間も体力もお金も、全て手に入れる方法はないかと考えてみました。
まず為替に注目しました。
私が中学生だった頃、すでに日本の金利は低く、海外の金利は相対的に高い状況でした。
ところがバブル期には日本の金利が7%という時期もあったことを知ります。
これは元本が10年で2倍になる数字です。
お金は何もしなくても増えていくという機能があるんだなぁと当時思いました。
不思議ですよね、良いか悪いかという議論はさておき、お金には勝手に増えていくという性質があるのです。
これが、良くも悪くも私たちが生まれながらにして身を置いている資本主義の一側面です。
まず世の中のルールを知ることは重要です。
サッカーを始める時もサッカーのルールをまず勉強しますよね。
お金も同じです。
お金にもルールがあるのです。
「配当金>生活費」になれば経済的には自由
さて、さきほど「若い頃に時間も体力もお金も、全て手に入れる方法はないかと考えてみました」と述べました。
考えてみた結果、20代前半の折、一縷(いちる)の光が見えました。
「サラリーマンでもらえる給与からできるだけ多くの額をアメリカの株式に注ぎ込み、配当金を着実に増やしていくことで、人生の早い段階で経済的自由を手に入れることができるのではないか」と思ったのです。
配当金が月10万円で生活費が月20万円であれば、経済的自由の達成度は50%と可視化できますよね。
つまり生活費を超える配当金を得ることができれば、経済的な自由を得たことになる、と当時考えました。
そこから一心不乱に米国株式に資金を投じ続けます。
その結果、市場の好調という追い風もあり、2019年、30歳の時に資産が7000万円に達し、配当金を月20万円以上得られる仕組みを構築しました。
同じ年に会社を退職し、昨今の言葉でいうところのFIRE達成となりました。
当時、ツイッターでの反響は予想を大きく超えるものでした。
それだけ今の社会情勢を反映しているような気もしました。
変わるもの、変わらないもの コラムでお伝えします
簡単ですが、以上が自己紹介です。
紆余曲折を経てFIREに至ったわけですが、その具体的な方法を含め、詳細を知りたい方は拙著「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法」をご参考にしてみてください。
急速なデジタル化やモノの飽和などにより、旧来支配的だった価値観や制度が必ずしも通用しなくなっている時代を、これからの世代は生きていくことになるでしょう。
しかし、いつの世にも変わらない普遍的なこともまた存在します。
そういったこともこのコラムで触れていけたらと思います。
(このコラムは月1回掲載予定です)