プレッシャーやストレスに負けない モチベーションを高く保つ5つのコツとは

プレッシャーやストレスに負けない モチベーションを高く保つ5つのコツとは

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スピードスケート・ショートトラックで3度の冬季五輪に出場した勅使川原(てしがわら)郁恵さん。日本代表選手を長年務めることができた背景にあるセルフマネジメントの手法は、多くのビジネスパーソンにとって応用が利くといいます。その実践法をお伝えします。

日本代表の15年間、常に前向きでいられた

「モチベーションが上がる(下がる)」という言葉を私たちはよく使います。

「モチベーションが高い」とは一般に「やる気と意欲が高いレベルで存在する状態」のことです。

 

現代を生きる私たちは様々なストレスにさらされ、モチベーションを保ち続けるのは容易ではありません。

とはいえビジネスパーソンもアスリートも、常に結果を残さねばなりません。

 

私はスピードスケート・ショートトラックの日本代表選手を15年務めました。

毎日がプレッシャーとの戦いでしたが、モチベーションが下がることはなく、常に前向きな気持ちでいられました。

トリノオリンピックのショートトラック女子1000メートル予選に出場する筆者=2006年、朝日新聞社
トリノオリンピックのショートトラック女子1000メートル予選に出場する筆者=2006年、朝日新聞社

現役時代、知人に「モチベーションが下がった時はどうしてる?」と問われ、衝撃を受けた記憶があります。

私はモチベーションが下がるという経験を1度もしたことがなかったからです。

「多くの方はモチベーションを保つのが難しいのだ」とそのとき気づきました。

 

現役引退後の今に至るまで、私はモチベーションを高く保ち続けることができています。

今回はそのための5つのコツについてお伝えします。

ポイントは心と体のバランスです。

 

日記で心を整理、モヤモヤを持ち越さない

①日記をつける

現役時代は海外遠征中も含め、毎日15~30分かけて日記をつけていました。

練習時間には限りがあるため、調子が悪くても練習中にその原因について深く考えることはできません。

 

ですが、家に帰って寝る前に落ち着いた状態で日記を書くと、練習中に気づかなかったことにあれこれ思い至ります。

例えば「今日の練習での不調は、フォームの崩れが原因ではないか」と気づくのです。

すると「明日はひざをもっと深く曲げてみよう」と改善点が明確になります。

モヤモヤした気持ちを次の日に持ち越さずにすむわけです。

ノートに日記をつける。心理学者ペネベイカーは、不快な感情体験を筆記することにより、考えが整理されて感情の回復が促進され、心身の健康が増進される効果が期待できることを示したという=2012年、朝日新聞社
ノートに日記をつける。心理学者ペネベイカーは、不快な感情体験を筆記することにより、考えが整理されて感情の回復が促進され、心身の健康が増進される効果が期待できることを示したという=2012年、朝日新聞社

また、つらいことや嫌なことがあった場合、日記にあれこれ書いているうちに、これ以上一人で考えていても仕方ないと気づくこともあります。

そんなときは親や親友、時には異業種の方に相談していました。

人に悩みを聞いてもらうだけで、気持ちがスッと楽になることがあるのです。

日記で心を整理することで、「誰かに相談する」「一人で抱え込まない」という道に目を向けられます。

現役を退いた今でも、携帯電話のメモ機能やSNSを日記代わりにしています。

 

目標書いたダルマを目につく場所に

②常に目標を設定する

1年の目標を立てることで、今やるべきことが明確になります。

私は毎年の元旦に、大きなダルマに「日本一になる」「世界一になる」「オリンピック出場」などとスケートの目標を書いていました。

 

そしてそのダルマを、目に入る場所に置きます。

すると食事の時もくつろいでいる時もダルマが見えます。

目標達成のために今やるべきことを考えるようになり、例えば「体幹強化のために腹筋を100回3セットやろう」「持久力をつけるために1時間ランニングしよう」とすぐに行動していました。

結果的に目標を達成できたので、毎年ダルマに両目を入れることができました。

東京都調布市の深大寺で、ダルマを買い求める観光客ら=2020年、朝日新聞社
東京都調布市の深大寺で、ダルマを買い求める観光客ら=2020年、朝日新聞社

現役引退後も様々な目標を立てました。

「スポーツコメンテーターになる」「やったことのない過酷なスポーツに挑戦する」「会社を立ち上げる」などです。

おかげさまで全て達成してきました。

 

③自分に自信を持つ

自分に自信があれば「頑張れば結果がついてくる」「もう1段高いところに行ける」と不思議とやる気がみなぎってきます。

自信はモチベーションの源です。

 

自信を持つには、いろいろなことに挑戦してみることです。

私はスケートの練習や試合でチャレンジ精神を常に意識していました。

目標が高いほど、達成した時に自信がつきます。

この積み重ねをどれだけできるかです。

 

もちろん失敗することもあります。

それでも落ち込むより「明日再チャレンジしよう」「反省点を改善しよう」と考えるのです。

できるだけ前向きでいること。

その方が失敗からの立ち直りが早くなりますし、時間を有効に使えます。

ウォーキングイベントで参加者と触れ合う筆者(中央)と荻原次晴さん(右)=2007年、朝日新聞社
ウォーキングイベントで参加者と触れ合う筆者(中央)と荻原次晴さん(右)=2007年、朝日新聞社

「どうしても自信が持てない」という方もいらっしゃると思います。

心がけてほしいのは、人と比べないことです。

比べるなら「昨日の自分」にしましょう。

私も常に自分との戦いを意識していましたし、疲れた時は思い切って休んでいました。

すると心と体がいつも元気でいられるのです。

 

体重0.5キロ増えただけでパフォーマンス悪化

④体調管理をする

生活リズムを整えることは大事です。

私は起床や就寝、3度の食事の時間を毎日だいたい一定にしています。

現役時代から一貫して続けていることです。

 

そして朝と晩、1日2回の体重測定も続けています。

生活リズムが整っていると、体重の変動が少なくなります。

 

現役時代は、体重が0.5キロ増えただけで体への負荷がとても大きく感じました。

余分な力を使うので、良い結果を残せず苦労したこともあります。

その経験から、体重は徹底してコントロールするようになりました。

そのおかげで、食事や運動による摂取・消費カロリーを計算せずとも、ベストな状態かどうか体で分かるまでになったのです。

 

体重が増えると体が思ったように動かず、疲れを感じやすくなり、何をするにもおっくうになってしまいます。

体調を崩すことが増えれば、仕事で周りに迷惑をかけないか、病院や薬はどうしようかと、いらぬ心配が増えます。

こうなるとモチベーションを高く保ち続けることは難しいでしょう。

 

⑤オンとオフをしっかり分ける

現役時代、1週間のうち6日は練習、1日は休養日にしていました。

練習のある日はスケートに集中して気持ちをオンに、休養日は完全にリラックスしてオフにするのです。

オフの日は月に1回くらい、都内の温泉施設で半日ゆっくり過ごし、体をリフレッシュしていました。

大分県竹田市の市営温泉施設=2019年、朝日新聞社
大分県竹田市の市営温泉施設=2019年、朝日新聞社

オンとオフをうまく分け、心身の疲労を回復できたこと。

それが大きなけがをせずに日本代表選手を15年も続けられた一因だと思います。

今では、オンの日は仕事に集中し、オフの日はママに戻ってリラックスしています。

 

今回は、モチベーションを高く保つための5つのコツについてお伝えしました。

みなさんも、自分の心と体に向き合う時間を作ってみて下さい。

次回は「大舞台の前の緊張のほぐし方」についてお伝えします。

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