アイデアと企画の違い、ご存知でしょうか? 企画が必要な3つの理由 #4

アイデアと企画の違い、ご存知でしょうか? 企画が必要な3つの理由 #4

ビジネス

泡パーティーやバスタブシネマ、ドライブインフェス……。数々の心躍らせるイベントを仕掛けてきた体験クリエイター・アフロマンスさんが、“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

これまで、アイデアを考える上でのマインドセット「正しいこと≠正解」や、

アイデアを考える上での3つのヒントは

「異質なものの組み合わせ」
「見たことがないくらい極端なものを考える」
「当たり前の設定を疑ってみる」

そして、アイデアのトレーニングとして

「人にアイデアを話す」
「小さくやってみる」

ことが大事という話をしました。(詳しくは前回までのコラムをご覧ください)

ここまで聞くと、1つや2つ、ワクワクするアイデアが出ているんじゃないでしょうか。いや、もっとたくさん出ているアイデアマンもいるかもしれません。

しかし、ここから少しぞっとする話をします。

アイデアと企画の違い、そして、実現までの道のりの話です。

アイデアは実現までの道のりの約◯割

ここはひとつ、アイデアから実現までの道のりを「山登り」に例えてみます。

もちろん、山頂に登頂することが、一旦の「実現」という意味です。

では、アイデアを思いついた段階とは、山登りの道のりの中でいくと、どのあたりでしょうか?

ちょっと考えてみてください。

まず、答えを言う前に断っておくと、私はアイデアを非常に重要視しています。

ワクワクするアイデアは、実現したいという気持ちの原動力になるし、単純な利害関係を超えて仲間が集まります。

逆に、アイデアがないものは、どうしても理屈っぽくなってしまい、利便性や差別化など、頭ではわかるけど、心が動かないものを粛々とつくることになる、なんてこともあります。
なので、アイデアはとても大事です。

と、答えまでの時間を引き延ばしたところで、イメージは湧きましたでしょうか?

答えは……

アイデアは、家で「あの山に登りたい」と思った時くらいに相当します。つまり、道のり的にはまだ家から出てない状態です。

「はぁ?そんだけ?」と思ったかもしれません。

でも、これくらいが現実なのです。

何回も言いますが、アイデアは大事です。
これから頑張って準備して、苦労して登る山が、ワクワクが眠る宝の山なのか、それともただの荒れ果てた山なのか。これからの道のりが長く険しいほど、アイデア(登る山の選定)は大事です。

そして、新しく斬新なアイデアとは、前人未到の山に登るようなもの。地図もないし、ガイドもいません。でも、その分ワクワクするでしょう?(そこは人によるかもですが)

ちょっと脱線しましたかね。
本論に話を戻して、では、企画はどういう位置付けかというと、こんなところです。

山頂(実現)までの道のりを10とすると、自宅で「山に登りたい」と思ったとき(アイデア)が道のりの1割くらい、ある程度の準備ができて、山の麓の町まで到着したとき(企画)が3割くらい。そこまでやって、ようやく山を登り始める(実現に向けて走り出す)感じです。

これは、私の肌感ですが、色んな企画やプロジェクトをやっている人は割と共感してもらえる感覚なんじゃないでしょうか。

楽しいアイデアを考えていたのに、道のりの険しさにぞっとしたかもしれません。

でも、安心してください。プロフィールに書いている通り、私は「アイデアと実現力で、新しい体験をつくる体験クリエイター」です。アイデアと実現力、この両輪が私の武器です。
そして、このコラムは「アイデア発想術」ではなく「ワクワクをつくる企画術」です。

このアイデアと実現を結ぶものが「企画」です。ぜひ、その持っているアイデアをアイデアで終わらせないように、実現させましょう。ここからは、実現に向けた企画について話していきます。

企画は何のために必要なのか

では、これが企画術です!と言って、パッと終わらせたいところですが、伝えるべきことは1回のコラムで済むような量ではないので、ここから複数回に渡って、色んな側面から企画について書いていきたいと思います。

まず、そもそも、なぜ企画は必要なのでしょうか?

企画を持ってこいと言われて、先人が書いた企画書を参考に、見よう見まねで書いて出す。何のためかはよくわかってないって人も、割といるんじゃないでしょうか。

そもそも、アイデアと企画は何が違うのでしょうか?

私は仕事柄、若い人からプロの企画制作会社の人まで、色んな人の企画書を見る場面がありますが、正直、ちゃんと企画と言えるものは1割くらいで、アイデアシートもしくは計画書がほとんどです。

まず、ここら辺の前提はわかっていた方がいいので、最初に話します。

企画が必要な理由は大きく3つあります。

・ステークホルダーを納得させるため

アイデアを実現させるために、納得を得ないといけない人たちがいると思います。例えば、そのアイデアに資金を出すクライアントやスポンサー。イベントであれば会場の管理者。身近で言えば会社の上司など。彼らの納得を得るために、自分の頭の中にあるアイデアを、より具体的に、より実現性を高める、そして、実現したらどういう結果をもたらすのかをイメージさせるために必要です。

・仲間やチームで共通認識を持つため

多くの場合、アイデアを実現しようと思ったら仲間やチームで動くことが多いと思います。そんな時に、そのアイデアについての共通認識を持つことは重要です。思っている以上に、他人はあなたの頭の中を理解していません。どんなイメージなのか、何が大事なのか、何を達成したいのか、しっかりと伝えるために企画として練る必要があります。

・自身のアイデアの解像度を上げるため

「納得を得る」「共通認識を持つ」は、他人とのコミュニケーションの話ですが、企画は自分のためでもあります。素敵なアイデアを思いついた時は、すべてを理解したような万能感を感じますが、いざ企画にしようと思うと、自分の中でもかなりあいまいなイメージしか持っていなかったことがわかります。

・どんな見た目なのか? 色なのか? 素材なのか?

・何月何日にやるのがベストなのか?

・どんな場所でやると最高の結果を生むのか?

・誰がいれば実現できるのか? その誰かは、どういう理由で協力してくれるのか?

・そして、それはいくらかかるのか?

などなど。

あげればまだまだ出てきますが、アイデアが企画になるということは、自分のアイデアの解像度をどんどん上げていく、ということです。

「あの山に登りたい」という思いつきから始まり、いつ、どういうルートで、どんな準備をして、いくらかけて、誰と山頂に登ると、最高の登頂体験になるのか(遭難しないのかも含め)考えるようなものです。

なぜ必要なのかがわかってくると、企画に必要な要素も徐々にわかってきます。

先ほど言ったように、若い人が出してくる「こんな面白いものを考えました」という資料は大体の場合、アイデアを記したアイデアシートだったり、ちゃんとした企画制作会社でも、具体的な方法だけが書かれた計画書を企画書と言って出てきたりします。もちろん、それぞれ大事なパートではありますが、それだけでは山は登れないのです。

アイデア→企画は、解像度をあげるということ

今日の最後に、恥ずかしいですが、私が企画を手がけた佐賀の日本酒のPR企画「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」のアイデア→企画→実現のイメージを貼っておきます(地味に初公開)。

これが事務所ではじめて「SAKURA CHILL BAR」というアイデアが出た時のホワイトボードです。この段階で、左下に書いてあるように、音楽のチルアウトと、花びらが散って埋もれる体験を掛け合わせること、そして、升のような漠然としたイメージがあります。また、企画にしていく段階で無くなっていった要素もあります。

そして、この企画には、制作会社としてフロンティアインターナショナル、美術会社として金井大道具が入っています。桜が舞い散るチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」というコンセプトから、升をモチーフに取り入れた店内のイメージができて、ラフを元にディスカッションしていきます。

パース(完成予想図)だけではわからない、現実的なレイアウトにも落とし込んでいきます。この段階で、運営や定員のこともシミュレーションしていきます。

そして、最終的な企画段階でのパースイメージです。

左はビル全体が桜が舞っているようなイメージ。1階から2階に桜の木が突き抜け、2階には桜の花びらが積もった小さなプールがあります。そして、実施決定後、また細かい部分を調整・変更していきます。

そして、実現時のイメージです。

外観のデザインやディスプレイの状態などがブラッシュアップされています。また、実際に形になると、そこに存在する迫力が心を踊らせます。

※SAKURA CHILL BAR by 佐賀がどんなイベントかご存知ない方は動画をご覧ください。

ここでは美術や空間についてのイメージを並べましたが、もちろん、メニューやオリジナルの酒器、ツール、SNS、PRなど、アイデアから企画として詰めるポイントはたくさんありますが、今回のテーマであるアイデアから企画、そして実現へのルートをイメージする一助になれば幸いです。

次回以降は、企画の考え方について、色々な角度から語っていきます。こんな話が聞きたい、ということがあれば、記事下のコメント欄、またはTwitterで「#ワクワクをつくる企画術」でつぶやいてもらうか、アフロマンスのSNSにリプライしてもらえれば見ますので、よろしくお願いします。

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(このコラムは月1回掲載予定です)

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