【おすすめ本紹介】人生論ノート

【おすすめ本紹介】人生論ノート

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レビュー

これは、現代には失われてしまった愛と幸福を取り戻すためのノートである。そこに思想家としての強い信念を見るのは、私だけではないはずだ。

ハイデッガーの薫陶を受け、マルクス主義を哲学として理解しようとした三木清は、大戦間の動乱期に人間学を探究した。論理的なものからこぼれ落ちる情念、非合理的な人間的なるものにいかにして形を与えるか。獄死に至るまで三木の頭を駆けめぐったのは、そうした思いだったのではないだろうか。

近代科学や近代的な倫理は、人びとを自意識の過剰に悩ませ、にもかかわらず人びとを無個性へと貶め、うつろな虚栄のなかに閉じ込めた。しかし、そもそも虚無から人、個性は生まれたと三木は説く。カオスから「人生」という形あるものをつくりあげることが、生命であり、人間の所作であった。虚無が悪なのではない。虚無を虚無のままにし、カオスのなかでただ漂泊するだけとなってしまったことが、現代人の人間としての問題なのである。これにいかに対処していくか。ただ過去の感傷に浸り、生活の楽しさに気づけないままでいれば、そこに残るのは「何者でもない誰か」である。

虚無に堕するのではなく、ただひたすらに心の秩序を求めて、希望と幸福ある人生へと向かう。混沌とした時代であるほど、三木の言葉は人間の深いところにあまりにも大きな音で響くだろう。そう、まさにいまこそ、読まれるべき一冊なのである。

要点

今日の人間は幸福についてほとんど考えないらしい。過去すべての時代で、つねに幸福は倫理の中心問題であった。現代においては、新たに幸福論が設定されるまで倫理の混乱は救われないであろう。

どのような外的秩序も、心の秩序に合致しなければ真の秩序とはならない。人格とは秩序であり、自由も秩序である。

希望は運命のようなものだ。運命的な存在である人間にとって、生きていることは希望を持っていることである。

自己を知ることはやがて他人を知ることである。私はただ愛することによって他の個性を理解する。

著者

三木清(みき きよし)
1897(明治30)年、兵庫県生れ。京都帝大で西田幾多郎に学んだ後、ドイツに留学、リッケルト、ハイデッガーの教えを受け、帰国後の処女作『パスカルに於ける人間の研究』で哲学界に衝撃を与えた。法政大学教授となってからは、唯物史観の人間学的基礎づけを試みるが、1930年、治安維持法違反で投獄、教職を失う。その後、活発な著作活動に入るが、再び検挙され、敗戦直後、獄死した。

出版社

新潮社

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