【おすすめ本紹介】命の経済

【おすすめ本紹介】命の経済

オフタイム

本の要約サービス「flier(フライヤー)」とbizbleがコラボ。日々の生活が豊かになるような、ビジネスパーソンにおすすめの本を紹介します。

レビュー

いま、新型コロナウイルスの動向に関心を持たずにいられる人はいない。著者のジャック・アタリ氏は、20年以上前から世界的な感染症の流行に対して警鐘を鳴らしてきた。そんなアタリ氏はまず、人類が経験してきた感染症の歴史をひも解いていく。次に、いま直面しているパンデミックの状況をさまざまな観点から分析する。中国の隠されていた事実や欧州の現状に対する著者の考察は実に鋭い。そして、満を持してこの本の核心に迫っていく。パンデミック後の世界はどうあるべきか。コロナを経験した人類はどのような経済、社会を築いていくべきか。アタリ氏は、自身が「命の経済」と名づけた、パンデミックに負けない経済・社会の構想について、わかりやすく丁寧に、情熱をもって訴えかけてくる。

重要なのは、傍観者になるのではなく、自ら主体的に生きる行為者となることだ。事実から目を背けることなく、過去の事例から学び、未来について考えていくことで、われわれは初めて自分の人生を生きられるようになる――。こうしたメッセージには、大切なものを守るためには断固として闘うというアタリ氏の覚悟がにじみ出ている。本書を読めば、その情熱に胸を打たれることだろう。

いま直面している危機とこれからの社会について、自分の頭でしっかりと考えてみたい人には、うってつけの一冊だ。本物の知性にふれてみていただきたい。

要点

パンデミックに備えるための研究開発や発展させるべき産業の経済部門を「命の経済」と呼ぶ。今後は「命の経済」の部門を成長させることが重要となる。

経済、自由、文明を崩壊させないためには、予期せぬ未知の出来事への備えが必要である。

今後は「放置された民主主義」から「闘う民主主義」へと移行しなければならない。選挙権のまだない将来世代の利益について、議論をすることが大切である。

著者

ジャック・アタリ(JACQUES ATTALI)
1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)卒業、81年フランソワ・ミッテラン大統領顧問、91年欧州復興開発銀行の初代総裁などの要職を歴任。政治・経済・文化に精通することから、ソ連の崩壊、金融危機の勃発やテロの脅威などを予測し、2016年の米大統領選挙におけるトランプの勝利など的中させた。
林昌宏氏の翻訳で、『2030年ジャック・アタリの未来予測』『海の歴史』『食の歴史』(いずれもプレジデント社刊)、『新世界秩序』『21世紀の歴史』『金融危機後の世界』『国家債務危機―ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』『危機とサバイバル―21世紀を生き抜くための<7つの原則>』(いずれも作品社)、『アタリの文明論講義:未来は予測できるか』(筑摩書房)など、著書は多数ある。

出版社

プレジデント社

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