人は「見たことがない」にワクワクする。アイデアをつくる第2、第3のコツとは #3

人は「見たことがない」にワクワクする。アイデアをつくる第2、第3のコツとは #3

ビジネス

前回は、アイデアを考え始める上での最初のマインドセット「正しいこと≠正解」ということ、そして、「異質なものの組み合わせ」がワクワクするアイデアにつながるという話をしました。今回は、ワクワクするアイデアのつくり方の後編として、第2、第3のコツについてお話します。

泡パーティーやバスタブシネマ、ドライブインフェス……。数々の心躍らせるイベントを仕掛けてきた体験クリエイター・アフロマンスさんが、“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

人は「見たことがない」にワクワクする

ワクワクをつくる第2のコツは

です。

最近、自分がアイデアや企画を考えているとき、常に「最終的なアウトプットの絵」をイメージしていることに気づきました。

どんな見た目になるのか、どんな体験になるのか。イメージして、いいものになりそうであれば、より深掘りしていくといった具合です。

どんなものか頭の中で描ければ、あとはできる方法を探せばいい。逆に「イメージできないものはつくれない」とも言えます。

それくらい「イメージすること」は大事です。
頭の中で絵を浮かべてみましょう。

2つ、事例を出します。

①お風呂×映画

②薔薇×レストラン

 

どんな絵を思い浮かべますか?

僕のことをよく知っている人はすぐわかっちゃうと思いますが、知らない人は一度イメージを膨らませてみてください。

普通に考えると、こんな感じですよね。

①お風呂×映画

お風呂でスマホ、最高ですよね。ただ、見たことがないイメージという訳ではないですね。

②薔薇×レストラン

素敵そうなレストラン! ただ、こちらも想像の範疇だと思います。

では、実際の事例を見てみましょう。

①お風呂×映画

バスタブに浸かりながら映画を見る「バスタブシネマ」
バスタブに浸かりながら映画を見る「バスタブシネマ」

渋谷のスクランブル交差点のビルの屋上に、スクリーンとポータブルのバスタブを大量に設置し、みんなでバスタブに浸かりながら映画が見るという体験型イベントです。

どうでしょう? パッと見てワクワクしませんか?

②薔薇×レストラン

4万本の薔薇に囲まれたイマーシブレストラン「喰種レストラン(グールレストラン)」
4万本の薔薇に囲まれたイマーシブレストラン「喰種レストラン(グールレストラン)」


映画「東京喰種 トーキョーグール【S】」の公開に合わせて、高級なイマーシブ(没入感のある)レストランとして、大量の薔薇に囲まれた空間を考えました。

場所非公開や、店員が人を食べる「グール」という設定で登場するなど、様々な仕掛けがあるのですが、今回はイメージの参考としてご紹介します。

どうでしょうか? よく見るレストランだね、とはならないですよね。

企画会議で「○○っぽいやつ」という罠

「要は○○みたいなやつ」

「最近流行のあの感じで」

企画会議でよく聞く言葉だと思います。

また、「映画 イベント」や「薔薇 レストラン」など、関連ワードで検索して出てきたイメージからアイデアを考えることも多いと思います。

もちろん、アイデアのキッカケづくりとして、事例をたくさん見ることは一定の意味はありますが、そればかりやると事例に引っ張られてしまい、「よく見るようなもの」しかイメージできなくなってしまいます。

見たことがないものを考えるには、白紙に絵を描く気持ちが大切です。

実際に、雑でもいいからペンで書く癖をつけるのはありです。僕も最近は、アイデアを手書きでよく書きます。

とはいえ、いきなり絵を描けと言われても難しいですよね。そこで、先ほどの事例から参考にできるポイントを考えてみましょう。

・バスタブが1つではなく、大量に並んでいる非日常感

・薔薇も数本ではなく、4万本が敷き詰められている光景

・また、色んな花を入れるのではなく、赤い薔薇に絞るシンプルさ

 

このように「大量にする」「大きくする」「絞る」などの「極端さ」の切り口が、見たことがないワクワクするアイデアにつながっていきます。そういったキーワードを念頭におきながら、イメージを膨らませてみるといいと思います。

人間の脳は「省エネ」 偶然の素敵な出会いが起きにくい

1つ目は、ついつい近いものを連想して組み合わせしまうため「異質なものを組み合わせる」というアプローチが有効という話。(第2回コラムはこちらです)

2つ目は、どこかで見たことがあるようなものばかりイメージしてしまうので「見たことがないくらい極端なものを考える」ことが有効という話でした。

この2つに共通する背景は、人間の脳は効率的に動いているということです。

ゼロから考えるのは大変だから、関連するキーワードがすぐに出てきたり、どこかで見たことがあるイメージが浮かんできたりする。ただ、そのせいで、セレンディピティ(偶然の素敵な出会い)が起きにくくもなっている訳です。

3つ目は、その点、ど真ん中なコツになります。

これも具体例を見た方がイメージが湧くと思うので、2つご紹介します。

平日の朝6時半スタート! 通勤通学前に踊れる「早朝フェス」
平日の朝6時半スタート! 通勤通学前に踊れる「早朝フェス」

タイトルの通り、朝から踊れるフェスを開催しました。DJがいて、ヨガもやって、朝なのでノンアルコール・ノンスモーキングで気持ちよく出社していく。超アクティブな朝活とも言えます。

面白い企画だなと思ってもらえたら嬉しいですが、冷静に考えると、やっていることの中身は、「見たことがない!」ってものはないんですよね。

ただ、「平日の朝6時半からこんなことがやれるのか!」という驚きがあると思います。

つまり、無意識に「フェスは休日にやるもの」「DJは夜のクラブでやるもの」という当たり前が染みついている証拠です。その当たり前を疑い、変えることで、新たなワクワクにつながるという事例です。

街中の道路を巨大なスライダーに変える究極のストリートパーティー「Slide the City JAPAN」
街中の道路を巨大なスライダーに変える究極のストリートパーティー「Slide the City JAPAN」

写真にあるように、一般的な道路を使って、その上を巨大なスライダーにするという企画(長さはなんと300m)で、アイデアもさることながら、実現させることがとにかく大変でした。
会場になりそうな道路を管轄している部署の方と話している中で言われたのが「これはテーマパークではダメなんですか?」という質問です。

もちろん、色んなストーリーやロジックはあるものの、すぐに思ったことは「テーマパークでやっても面白くない」ということです。

テーマパークに当たり前にあるはずのスライダーが、いつも見ている普通の道路に現れるというワクワク感。

その大きさに圧倒されますが、実はそういった「当たり前の設定」を崩していることが、魅力でもある訳です。

アイデア出しのトレーニング方法とは?

ここまでの話を野球に例えると、アイデアのコツは、ホームランが出るときのフォームのようなものです。教えた通りに動けば、きっとホームランが打てます。ただ、実際は、理屈がわかっていても体はすぐ動かないように、理論を知っていてもすぐにアイデアがポンポン出るようにはなりません。

そこは、素振り=トレーニングが必要になってくる訳です。

アイデア出しのトレーニングのオススメの方法は以下の2点です。

①人にアイデアを話す

アイデアを隠したがる人は多いですが、試合に出ずにバッティングセンターでひたすら素振りをするのと同じで、人と話さないとアイデアが磨かれません。

アイデアを話した時の相手のリアクションは良い場合も悪い場合もとても参考になるし、口に出すことによって協力者やチャンスが巡ってくることは多いです。

もちろん、仕事上の機密事項のようなものは気をつけないといけないですが、話してもいいことはどんどん話すのがいいと思います。

②小さくやってみる

自分のアイデアは大きな予算がないとやっても意味がないと思い込んでいる人は多いです。

本当に意味がないのでしょうか?

やれる範囲で小さくやってみて、周りの人や世の中のリアクションを見ることはとても参考になるし、自分自身もやってみて気づけることが本当に沢山あります。

また、ただ「やりたい」と言ってる人より、小さくても「やった」人の方がはるかに説得力が生まれます。

これらを日常的にやっていくことで、アイデアの感覚が磨かれ、実現も近づいていくと思います。

アイデアのつくり方の後編、いかがだったでしょうか。

今回は、「見たことがないくらい極端なものを考える」と「当たり前の設定を疑ってみる」という2つのアイデアのコツ、そして、実践していく上で「人にアイデアを話す」「小さくやってみる」を繰り返していくことが大事という話をしました。

考え方も説得力も間違いなくアップするので、ぜひ試してみてください。

次回からは、ここで考えたアイデアを実現させる方法や、その伝え方について話していきたいと思います。

 

(このコラムは月1回掲載予定です)

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