川崎希が社長になって気づいたこと。AKB48を卒業し、起業してたどりついたのは「ゆるい会社」

川崎希が社長になって気づいたこと。AKB48を卒業し、起業してたどりついたのは「ゆるい会社」

キャリア

発足メンバーだったAKB48を2009年2月に卒業し、アパレルブランドを立ち上げた川崎希さん(33)。デザイナー兼社長として、12年間会社を経営するなかでたどりついた、理想の会社のカタチは「ゆるい会社」だといいます。AKB48での経験はどう社長業に生きている? 出産を経た働き方とは? いまの思いを聞きました。

変化の大きな時代に生きる私たちの働き方はより柔軟になりつつあります。あなたは、どう働く? そのヒントとなりうる、新たな分野に“転身”して活躍する方々のいまを伝える企画です。

「社長になりたい」。だから、「100%大丈夫」と思えるまで準備を重ねた

――1期生として活躍していたAKB48を卒業し、2009年にアパレルブランド「ANTIMINSS」(アンティミンス)を立ち上げました。どうして転身しようと思ったのでしょうか?
AKB48に入る前から、「将来は社長になりたい」という思いがずっとありました。有名になった方が社長になりやすいかなと思って、芸能活動をはじめたんです。

「アイドルはいつかは卒業する」と考えていたのですが、自分が小さい頃から見ていた紅白歌合戦に2007年に出場することができて、自分の中で「満喫したな」と思い、決意しました。

川崎希さん=本人提供
川崎希さん=本人提供

――グループを離れることへの不安やさみしさはありませんでしたか
社長になることに対しての不安はありました。1人でちゃんとできるかな、と。なので、AKB48時代も、有名な社長が書いた本や「会社の立ち上げ方」についての本を楽屋で読んで勉強していました。

ちゃんと準備をして、自分の中でシミュレーションをして、「100%大丈夫」と思ったときにやろうと思っていました。「いけるかもしれないし、いけないかもしれない」くらいの思いだったらやめようと思っていました。

もちろん自分で「100%大丈夫」って思っていても、失敗しちゃうときもあると思うんです。でも、自分の中に不安なところが残っているのにやると、より失敗する確率が上がる気がしました。なので、不安に思うところを全部なくしてからはじめました。

――社長として会社を経営していく上で、AKB48時代の経験が生きていることはありますか?
社長って、自分を怒る人がいないですよね。なので、「サボろう」と思えばサボれる仕事なんですけど、AKB48はすごく厳しくて、たくさん注意されてきたことで、自分で自分をコントロールできるようになりました。

当時、私はまだ高校生だったんですけど、「1分でも遅刻するとクビ」というルールがあって、オーディションに受かって数日で実際にクビにされてしまった子もいました。

ケガをしても怒られました。たとえば、足をくじいたら、普通は「大丈夫?」と心配してもらえると思うんですけど、「何でケガをするんだ!」と。ケガをしないこともマネジメントのひとつ。普通の高校生が怒られないようなところで怒られてきたので、社会の厳しさを知り、勉強になりました。

自分らしい道を切り開くヒントは「自分をハッピーにしよう」

――同世代に向けて、川崎さんのように自分のやりたいことを切り開いていくヒントがあれば教えて頂きたいです
私は「毎日ハッピーに過ごすこと」を目標に生きています。すごく能天気な感じなんですけど(笑)、「毎日ハッピーに」と考えると、例えば行きたくないなと思う仕事はまずしない。

そういうふうに自分をハッピーにするための方法をとっていくと、自分がやりたいことが見えてくるような気がしています。なので、「今の仕事は毎日行くのが嫌だな」と感じたり、ちょっと違うことがやりたいなと思ったりしたら、人生は1回きりなので、20代や30代のいましかできないこともあると思うので、スパッと違うことをはじめてもいいんじゃないかなと思います。

そのときは、ちゃんと準備をして整えて、「自分は絶対大丈夫」と思えたときに、一歩を踏み出すのが一番安心なんじゃないかなと思っています。

――自分のやりたいことを見極めていくコツはありますか
自分がやりたいことって自分の中に必ずあるような気がしています。

周りと比べて自分の方が何か優れている面ってきっと1つや2つあると思うんです。「人よりゲームうまいじゃん」とか、「人よりお花を選ぶセンスあるな」とか。何でもいいので、自分が他の人より優れていたり、褒められたりしたことを見つめてみる。それを職業にできるかどうかを考えて、もしできそうだったらその職業について調べて、実現できるように努力してみるということじゃないでしょうか。

私は、小さい頃からなかなか「人に合わせられない」という性格でした。誰かに「これをやっておいて」と言われたことをやるのが自分には向いていないなという思いがありました。

毎日同じ場所に通うということも私には難しくて。小さい頃から学校を勝手にサボっちゃうような性格だったので、会社に出勤するということも無理だろうなと思いました。それで、会社員ではなく、社長になるのが合っているなと思いました。

だから、みんな自分の傾向や性格が小さい頃から出てきていることがあると思うので、自分の苦手なことや、したくないことを見つめ直して、自分に向いていなさそうな仕事はしないことが、一番自分がハッピーに働ける方法なんだと思います。

川崎希さん=本人提供
川崎希さん=本人提供

従業員のストレスをなくす。「ゆるい感じ」が会社にもたらしたもの

――いま、会社を経営していく上で、心がけていることはありますか
働いてくれている従業員に楽しくいてもらいたいと思っています。だからうちの会社は休みたいときに自由に休めるようにしたり、取引先に迷惑をかけなければ遅刻をしても怒らなかったり、「ゆるい感じ」にしています。

「昨日飲み過ぎたのでちょっと遅れます」みたいなことも「全然いいよ」と言っています(笑)。会社に行くのが嫌だなという気持ちになってほしくなくて、できるだけ趣味や仕事以外のことも楽しんでほしいと思っています。

従業員は20~40代なのですが、「仕事がすべて」になってほしくなくて。「仕事がすべて」となってしまうと、会社がストレスになりすぎちゃうことがあると思うので、なるべくストレスにならない程度に働いてほしいと思っています。

――それは社長になって、やりながら身についた考えですか?
やりながら、ですね。最初の頃は自分にも「店舗をたくさん持ちたい」というような野心もあって、「みんなも頑張ろう!」という熱血みたいな感じもありました。当時は、働く時間も今より長かったと思いますし、「遅刻もダメ」など厳しくしていたので、従業員のみんなが大変そうで、このまま続けるのはよくないと思いました。自分は勝手に熱血でもいいんですけど、人にまで要求するのは違うなって気づきました。

 

 
 
 
 
 
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(2013年当時の川崎希さん=川崎さんのインスタグラム投稿より)

それで、途中から「ゆるい会社にしよう」って決めました。ゆるくできたことが、会社にとってもよかったと思います。

――「ゆるい会社」にしようと思ったのはいつごろから?
4年くらい前です。店舗を大きくするなど、ちょっと会社に無理させようとすると、社員にも無理させることになっちゃうなと思ったので、ゆるくしようと思いました。

会社の売り上げは下がるかもしれないなと思いましたが、「それでもいいや」と思ってゆるくしました。そうすると、その頃から年商が倍になるようになって。逆に良かったんだなと思いました。

これからも年商を毎年倍ずつ大きくしていけるように、キープしていくことがいまの目標です。

「この働き方だといつか倒れる」。子どもを考え、自分に負担が少ない働き方にシフト

――ちょうど第1子を出産されたのが2017年でした。「ゆるい会社」にしようと思われた時期と重なりますね
そうなんです。子どもが生まれたら、この働き方は無理だというのは前から思っていました。一日中仕事をしたり、遅くなって会社に泊まったりすることもよくありました。「この働き方だといつか倒れる」と思っていたので、変えないといけないなとずっと思っていました。

 

 
 
 
 
 
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(第1子誕生を報告する川崎希さん=川崎さんのインスタグラム投稿より)

子どもが生まれる前から徐々に変えていき、自分に負担が少ないような働き方にしていきました。店舗があると自分には難しいなと思って、店舗をやめました。でも、アパレルだと手に取って見たいという方もいるので、期間限定ショップを開くようにしました。

いまは、子どもがメインの働き方をしています。長時間は働けないし、子どもが習い事に行っている時間に仕事を終わらせるなど、子どもがいる時間に仕事をしないようにしています。いまは、1日5時間くらいを仕事の時間にしています。

 

 
 
 
 
 
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(仕事中の川崎希さん=2021年2月の川崎さんのインスタグラム投稿より)

また、自分に子どもができたことで、従業員に子どもができたときのこともわかるようになりました。例えば子どもが急に熱を出して休みたいということがあります。そのときに、代えがきかないと、その人が休めなくなります。

当日でも休めるような体制にするなど、従業員のことをきちんと配慮できるようになった気がします。

川崎希さんの人生の満足度は…?

AKB48の1期生のオーディションに受かったときは、30%くらいです。もちろん、合格をもらえたのは人に認めてもらえたようでうれしかったのですが、もともとダンスも本当に苦手で、自分にとっては試練の時期でした。

――2009年2月に卒業したときはどうですか
50%くらいかな。自分にとっては苦手な活動でも応援してくれる方々がいて、そういう応援してくれる方々に会うのは楽しかったので、だんだん満足していって上がっていったと思います。

起業して、野心を持って店舗を拡大していった頃は20%くらいです。7年ほど前、ネイルサロンとアパレルで、店舗を最大で3、4店舗やっていた時期があったのですが、自分で全部管理するのがいっぱいいっぱいでした。

売上が出ても家賃などの固定費や、従業員の数もすごく多かったので、その従業員の給料など、すごく働いているのに、「全然会社にお金が残らない」というところがあって、「会社をやっている意味あるのかな?」と思って、満足度は下がっていましたね。

――その後「ゆるい会社」にしようと決意された時は?
80%くらいです。その後、会社もうまく回っているし、仕事中心にならなくてもちゃんとできているので、いまは90%くらいです!

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