あなたの企画に「ワクワクの視点」を。心を動かす力が未来をつくる

あなたの企画に「ワクワクの視点」を。心を動かす力が未来をつくる

ビジネス

泡パーティーやバスタブシネマ、ドライブインフェス……。数々の心躍らせるイベントを仕掛けてきた体験クリエイター・アフロマンスさんが、“ワクワクをつくる企画術”を語ります。

ワクワクしてますか?

「ワクワクする」

子供から大人まで、だれでもわかる耳馴染みがいい言葉。

そして、企業のビジョンやスローガンで聞くことも多い言葉です。

一方で、「毎日ワクワクしている」「自分はワクワクをつくっている」と自信を持って言える人はどのくらいいるでしょうか。

ワクワクすることがなんとなく大事ということはわかっているけど、数字で測定できるものではないし、結局、何のためになるのかわからない。

また、どうすれば人はワクワクするのか、そして、どうやったらワクワクをつくれるのかがわからない。

本コラムはそんな人のために、具体的かつ体系的に「ワクワクをつくる企画術」を届けていこうというものです。

自己紹介が遅れましたが、体験クリエイターのアフロマンスです。

これまで、車で楽しむ新しい音楽フェス「ドライブインフェス」や、バスタブに浸かりながら映画を楽しむ「バスタブシネマ」を主催したり、120万枚の花びらに埋もれるチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」や、血と薔薇をテーマにしたイマーシブレストラン「喰種レストラン」などの企画を手掛けたりしています。

「ドライブインフェス」(左上)、「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」(左下)、「バスタブシネマ」(右上)、「喰種レストラン」(右下)
「ドライブインフェス」(左上)、「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」(左下)、「バスタブシネマ」(右上)、「喰種レストラン」(右下)

「要は、エンタメの話?」と思った方もいるかもしれませんが、ワクワクをつくることは、様々な業界で必要な視点です。

また、ワクワクは心を動かすこと、行動することにつながる、これからの時代の重要なキーワードだと確信しています。

初回は、ワクワクは何につながるのか?そして、なぜワクワクが必要なのか?ということをお伝えします。

ワクワクする企画がもつ3つの力

ワクワクする企画は、具体的にどういう力をもつのか。

まずは、私が企画した「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」の事例をふまえて、3つのポイントでお話しします。

無関心の壁を越える力

ワクワクする企画がもつ力の1つ目は、「無関心の壁を越える力」です。

SAKURA CHILL BAR by 佐賀
SAKURA CHILL BAR by 佐賀

今、情報があふれかえる時代であるというのは周知の事実です。また、プロダクトの品質も飽和し、「いいもの」があふれかえっています。
さらに、スマホを通じて、自分向けにカスタマイズされた情報が寝ていても届くような状況。
自分に関係のないことにはどんどん無関心になります。

そんな中、「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」は、佐賀県の日本酒「佐賀ん酒」を、これまで飲んだことがない方に飲んでほしい、という目的で企画されました。

真面目に、ただ「美味しいですよ」というのを広告で言い続けても響かないのは目に見えています。

そこで、新酒の時期、3月の皆の関心ごとである「花見」をテーマに、桜の花びらが「舞い散る」と、ゆったりするという意味の「チルアウト」をかけ合わせた「SAKURA CHILL BAR」というコンセプトを考え、目玉として120万枚の花びらに埋もれる「桜プール」を店内につくりました。

その結果、平日休日問わず、終日1時間半待ちの行列ができました。

また、参加した人の約6割が「佐賀ん酒を飲んだことがない」または「わからない」という方でした。

飲んだことがないけど、1時間半並ぶ。ワクワクする企画がもたらした現象です。

思い出に残る力

ワクワクする企画がもつ2つ目の力は、「思い出に残る力」です。

SAKURA CHILL BAR by 佐賀
SAKURA CHILL BAR by 佐賀

前述のような話をすると、「でも、それってインスタ映えが目当てで、お酒には見向きもしないんじゃないの?」というツッコミをしたくなる人もいるでしょう。

結果は違いました。

参加者の97.8%が「また、佐賀ん酒を飲みたい」と答え、買って帰りたいという声が多かったため、2年目からは酒瓶やおつまみを買って帰れるようにしたら、どんどん売れて全商品完売となりました。

つまり、参加者が「お酒に興味がない人」ではないこと、そして、追加で買って帰るという行動につながっていることがわかります。

これは設計の段階で、気をつけている部分です。

よくあるケースですが、ファンがついている強力なコンテンツと抱き合わせたり、商品が置いてきぼりになるような設計にしたりすると、人は来るけど(売れるけど)商品自体のファンにつながりません。

「花見」という普遍的なテーマで、ワクワクする企画だからこそ、心が動き、行動をつくることができる。(ここら辺は、話すと長くなるので、今後のコラムでお話したいと思います)

そして、心が動いた体験は、思い出になります。

街中で無作為に配られている飲料と、旅先の特別なロケーションや体験とともに飲んだ飲料は、リーチの数にすると同じ「1」かもしれませんが、その人にとっての価値は同じではないでしょう。

もちろん、プロダクト自体の素晴らしさは前提の上で、そこに加えて、ワクワクする企画の力で、心が動き、結果、お土産も完売し、商品自体のファンにもつながっていくと考えています。

本質的な話題をつくる力

ワクワクする企画がもつ力、最後は「本質的な話題をつくる力」です。

SAKURA CHILL BAR by 佐賀
SAKURA CHILL BAR by 佐賀

一口に話題と言っても、インフルエンサーマーケティングや、SNSでシェアされるバズ(バイラル)まで色々なものがあります。

実際のところ、それらも併用しますが、本質的な話題化は、一般の方が自発的に「面白い!」「行ってみたい!」「体験したい!」「最高だった!」と発することではないでしょうか。

いわゆるお金を払ったPRでもステマでもなく、純粋な口コミです。

勘違いしがちですが、ハッシュタグをつければシェアされる訳ではないですし、インフルエンサーを使えば口コミが広がる訳ではありません。

ワクワクする、心を動かすアイディアや体験があってこそ、前述のような本質的な話題が生まれます。

SAKURA CHILL BARではSNS上の広がりの数字も計測していて、特定の投稿がバズった訳ではなく、参加者などの投稿により、一度の開催で370万人ほどにリーチしています。

また、内容もそれぞれの言葉で、「楽しい」「美味しい」といった言葉が広がっています。

ワクワクする企画が、お金では買えない、熱量のある一般の方の話題を広げていきます。

数字に見えないワクワクの価値

ここまで、事例や数字をからめながら、ワクワクする企画の力についてお話ししましたが、一方で、数字にとらわれすぎてはいけない、ということもお伝えしておきます。

例えば、最後の口コミの話では、SNS上の数字を例に出しましたが、数字というのは現実に起こっているものの中で「観測可能な氷山の一角にすぎない」ということを念頭においてください。

実際は、飲み会で話している内容、友達にLINEで送っている内容、SNSでは鍵アカウントもあれば、リアルの世界で誰にも言わないけど思っていること、感じていることもあります。

SNSで見えていることより、そちらの方が実態であり、本質です。

そこをしっかりと見定める視野を持たないと、数字だけを見て判断して、ワクワクしないタイアップやインフルエンサー企画、インセンティブや、ただのリーチ優先な広告の企画になっていくのです。

あなたはその企画にワクワクしてますか?

相手はその企画にワクワクするという確信は持てますか?

それが答えだと思ってください。

ワクワクをつくることがもたらす未来

最後に、ワクワクをつくることが、これから先の将来に必要だということをお伝えします。

まず、前述のように、数字や理屈だけを追っていく企画やマーケティングでも、とりあえず成果は出るかもしれません。

でも、数字や理屈でできあがる企画は、あなたがつくらなくてもいい企画である可能性が高いのです。

なぜなら、複雑ではあるけれど、そこには数字と理屈という方程式が存在するのだから。そして、近い将来、何かしらのサービスやAIで代替される可能性も高いということです。

そんな未来が見えている中で、「心が動く」というのは非常に抽象的で、人間らしい企画力やクリエイティブが必要となります。

感覚だったり、感性だったりが必要になるのです。そして、そこにはあなたという人間が必要なのです。

受け手も人間です。

どんなにテクノロジーが発達して、便利になり、効率化されようとも、人間自体はアナログの存在としてあり続けます。

だから、そこにはワクワクする、心を動かすということが必要不可欠であり、これから重要度は増していきます。

マグマやきいも電車
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新たな価値や市場をつくる

また、ワクワクをつくる企画で、心を動かし、行動をつくることができれば、新たな価値や市場をつくることができます。

何をやるにしても、「市場は?」「ニーズは?」と考えがちですが、受け手はどの市場で、どんなニーズを持っているかなんて、頭には一切ありません。

そこにあるのは「行ってみたい!」「やってみたい!」「ほしい!」など、気持ちが動くかどうかだけなのです。

そこに正直に向き合い、新たな企画を生み出していくことで、市場やニーズといった既成概念を超えて、パイの奪い合いではなく、「幸せの総量が増えていく」社会をつくることができると考えています。

初回ということで、長くなりましたが、ワクワクする企画がもつ力、そして必要性を感じていただけたら幸いです。

次回以降は、実際にどうやって、そのような企画をつくっていくのかというのを具体的かつ体系的にお話ししていきたいと思います。

 

(このコラムは月1回掲載予定です)

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