【プロローグ】ゆとりがほしいゆとり世代

【プロローグ】ゆとりがほしいゆとり世代

ライフ・マネー

1989年12月29日午後3時ちょうど。金田幸之助は生まれた。日経平均株価の終値が38,915円の史上最高値をつけた瞬間だった。

死語になりつつある「ゆとり世代」という言葉。ゆとり世代とされる25~29歳の平均給与所得は369万円、30~34歳は409万円(2019年の国税庁調査)。1987~1996年頃生まれのゆとり世代の一人、金田幸之助(31)を通して「お金の悩み」を見つめ、解決策を考えます。
文:bizble編集部 監修:深田晶恵 イラスト:千葉さやか

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称などは架空であり、実在のものとは関係ありません。


1989年12月29日の東京証券取引所の様子=朝日新聞社
1989年12月29日の東京証券取引所の様子=朝日新聞社

彼が物心ついた頃、日本中を熱狂させた「バブル経済」はすでに崩壊していた。明るい話題といえばポケモンくらいだった。 

「ポケットモンスター」の専門コーナーが設けられたおもちゃ売り場=1997年12月名古屋市内、朝日新聞社
「ポケットモンスター」の専門コーナーが設けられたおもちゃ売り場=1997年12月名古屋市内、朝日新聞社

中学でMDウォークマンを買い替えたら、高校ではiPodが主流になった。高校でmixiに馴染んだら、大学ではみんなFacebookをやっていた。 

フェイスブック本社入り口にある「いいね!」=2014年5月アメリカ・カリフォルニア州、朝日新聞社
フェイスブック本社入り口にある「いいね!」=2014年5月アメリカ・カリフォルニア州、朝日新聞社

 

幸之助はそうやって、盛者必衰を身近に感じて生きてきた。だから、時代の変化に慣れている一方で、何事もすぐに変わってしまう不安を常に感じている。


現在、31歳独身。東証1部上場企業に就職し、都内に勤務する会社員に成長した。

 

「今度結婚式を挙げる予定なんだけど出てくれる?」
休日の昼下がり。自宅でぼんやり本を読んでいたとき、大学時代からの友人、翔からLINEが届いた。幸之助は即レスした。

 

しょう「今度結婚式挙げる予定なんだけど出てくれる?」

幸之助「おめでとう!出席させてもらいます」

しょう「ありがとう!!」

しょう「招待状送りたいから今の住所おしえて~」

幸之助「東京都台東区●● ●-●-●-301」

 

スタンプを送って、ふと思った。
「今年何回目だ、これ」
考えてみれば、今年3回目。ご祝儀は全部で9万円だ。
もったいない。
とは思いたくないが、思ってしまう。もったいない。

いや、でも昔から知っている友人だぞ。3万円でかけがえのない友人に対して祝意を伝えられるならこんな安いことはない。
いやいや、でも3万円は高いんじゃないか。お金じゃなくても、祝意を伝えることはできるんじゃないか。悩む。
幸之助は自分の預金残高が少ないことが悩みの原因ではないか、と思った。

年収の割に好き勝手に外食して、買い物して。そんな生活を続けた結果、蓄えは同世代と比べて絶対的に少ない、と自覚している。なぜなら預金残高が50万円にも満たないのだから。

こんな状態で豊かな老後を送ることができるのだろうか。幸之助は頭を抱えた。
「同世代はどれくらい蓄えているのか」

自分は老後に豊かな暮らしを送ることができるのか。もし仮に、厚生年金しか納めていない場合、どんな暮らしが想定されるのか。

スマホで検索してみるものの、情報が多すぎて嫌になる。思考が止まり、幸之助はそっとスマホを閉じた。
「このままの感じで将来大丈夫なんかな」


漠然とした不安が脳内を駆け巡ったとき、ふと叔母の顔がよぎった。
「お金のことを知りたくなったら連絡しなさいよ」
そう言われていたことを思い出す。

そういえば、FP(ファイナンシャルプランナー)って言ってたっけ。

幸之助は母親に叔母の連絡先を聞いた。そしてすぐに電話をかけ、伝えた。

「お金のこと、教えてほしいんだけど」
「やっと来たのね」

叔母の声はうれしそうだった。

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